東京女子医科大学泌尿器科 腎泌尿器癌研究会 講演会一覧設立趣意書会則
東京女子医科大学泌尿器科 腎泌尿器癌研究会 The Society of Urological Disease at Tokyo Women's Medical University
■ 2025年度年報
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2026年報 移植班

昭和100年史

年々書くことが少なくなってきた。

今年は100年を迎えた昭和について書いてみたい。

今年は昭和100年である。医局の中や飲み会で昭和の話をすると何か感じる冷たい視線が、手術場でB11番のJPOP有線をかけた時に聴こえる若い看護師さんのため息と似ていると感じるのはきっと私だけであろう。

昭和100年はすなわち戦後80年である。日本は敗戦後、侵略国家としてそして唯一の被曝国家として独特な道を歩んできた。軍隊を持つことは一切許されず、憲法9条のあやふやな定義で定められた自衛隊によって守られた独立国家?は、コテンパンに攻撃された全焦土から必死に立ち直るべく持ち前の真面目かつ勤勉、負けず嫌いな国民性にて世界で二番目のGTPを誇るまでとなった。それまで軍事費に費やしてきた財源のほぼ全てを経済に回すことによって日本人はエコノミックアニマルとまで揶揄された。

ご存知のように昭和20年の敗戦以降米国の操り人形のようになってしまった日本は、昭和64年すなわち平成がスタートしたころにバブルが弾けてからいまに至るまで空白の30年間を過ごしてきた。

はっきり言ってこの間に日本は国家としてやるべきことは何もしてこなかった。空白の30年の問題の根幹は敗戦以降、政治、外交、経済の全てにわたって主義主張なく米国の言うがままにその場凌ぎで乗り越えようとした国家の舵取りの曖昧さにあったと言える。日本という国家は国家防衛のみならず全てにおいて不思議な不明瞭な感覚で覆われており、なにか釈然としない。敗戦のあまりにも深い傷痕は持ち前の勤勉さだけではどうにもならず80年間に渡って引きずっているように思えてならないのである。

ただし不明瞭のままでいることはなにも悪いことばかりではない。日本でバブルが弾けていたころ、世界は 昭和63年にペレストロイカが起こり・ 平成2年 昭和65年には西独東独の壁がなくなった。このように東西冷戦が良い方向に向かう兆しが見えたと思いきや、石油の利権をめぐりまた複雑な中東国家における対立は、世界貿易センタービルのテロをひき起こしその代償にアフガニスタン紛争は激化して未だに解決の糸口は見つかっていない。国際問題は力で相手を封じ込めようとする大国主義となり、核をはじめとした力で相手を封じ込めようとする最も危険な方向に導かれている。令和に入ってロシアとウクライナの戦争が米国を挟みながら行われ余談を許さない状況にある。日本は島国であり隣接する国がなく、また戦闘の場が地球の裏側であることをいいことにこれらの問題にはほとんど直接的な影響は受けてこなかった。新しい女性の総理大臣が台湾有事をめぐって公の場であのような発言をしてしまったことからも、いかに日本の政治家が激動する国際情勢に無関心かつ不勉強であることが証明されてしまっている。

キリのない昭和の備忘録は紙面の関係でおしまいにしたい。

今年も真面目に多くの患者さんを尾本先生、清水先生、平井先生、海上先生、岡田先生、斉藤先生、高井先生(山形大学フェロー)、西川先生(三重大学フェロー)、北先生(近畿大学フェロー)、と多くの先生方と移植しました 。もちろんのこと岡部師長や越田コーディネーター、橋本コーディネーター、須賀看護師の力や余丁町クリニックの平久江師長はじめとしてスタッフの皆さまの力なくしてこの素晴らしい移植成績は語れません。最近改めて感じるのは、この年齢になっても外科手技的あるいは内科免疫的にも大変興味深い学問的題材が山のようにある腎移植医療の魅力です。

私も残すところこの年報を書くのもあと一度となりました。

岡部師長がよく移植を前にした患者さんにお話しする時に使う、後悔なきよう、最後まで走り抜けたいと思います。

台湾へ向かう機内にて創立記念日
令和7年12月5日金曜日
石田英樹


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