東京女子医科大学泌尿器科 腎泌尿器癌研究会 講演会一覧設立趣意書会則
東京女子医科大学泌尿器科 腎泌尿器癌研究会 The Society of Urological Disease at Tokyo Women's Medical University
■ 2023年度年報
ホーム1.はじめに2.医局構成・新入局員紹介3.東京女子医科大学腎センター泌尿器科および関連病院入院・外来・手術統計4.東京女子医科大学泌尿器科学教室 活動報告・2024年度の目標5.関連および協力施設 活動報告・2024年度の目標6.業績目録7.あとがき

5. 関連および協力施設 活動報告・2024年度の目標 >> 東京女子医科大学附属足立医療センター 骨盤底機能再建診療部

2023年度活動報告と今後の目標

2023年度の活動報告

  • COVID-19による受診控えは減り、6月以降手術件数はほぼ回復した。
  • ロボット手術枠を増やしてもらえず、RSCの件数を伸ばせず17件に留まった。

主たる業績

  1. 昨年acceptの「Epidemiological study of genitourinary syndrome of menopause in Japan (GENJA study)」がMenopause 2023 Apr 1; 30: 447-453にpublishされた。
  2. International Continence Society (ICS) in Toronto (9/27-29)にて「Evaluation of symptom onset of overactive bladder associated with pelvic organ prolapse as a predictor of postoperative improvement」をshort oralで発表した。
  3. ICS機関誌である「Continence」に「Dimethyl Sulfoxide: a review of pharmacology and clinical effect on interstitial cystitis/bladder pain syndrome」がpublishされた。
  4. NHK BS『チョイス@病気になったとき』の「女性の尿の悩み」に出演(5/21)し、
    毎日新聞『きょうのセカンドオピニオン』に「骨盤臓器脱および手術治療」を解説(9/27)した。NHKテキスト『きょうの健康』なんでも健康相談室(2024年5月号予定)に繰り返す膀胱炎について解説予定。

これまでのこと、これからのこと。

1983年に卒業後、第三外科学教室大学院に入り、87年に大学院修了。「透析患者の廃用膀胱に関する研究」で1989年に学位を取得し、腎臓外科助教、1991年に泌尿器科助教となりました。1999年10月に女子医大第二病院に配転するまでの卒後16年6ヵ月間で5ヵ所に出張し、本院在籍は計7年4ヵ月のみでした。卒後7年目の班長の時、治療方針の決定権は皆無にも関わらず、二次腎移植後拒絶反応の結果死亡した症例の訴訟に8年間も関わることになりました。寺岡先生は責任転嫁から助けてくれた恩人です。

第二病院に配転後いろいろ思うところあって、2000年(41歳)から人生初めての本気を出して、腹圧性尿失禁、間質性膀胱炎、過活動膀胱、骨盤臓器脱などの女性泌尿器科に取り組みました。TVで知ったマットペインターの上杉裕世氏を心の師とし、彼のモットーである「目標は高く、プロセスは大切に。」を真似しました。そして2011年に骨盤底機能再建診療部が新設され教授に就任させていただきました。学術活動としては、民間本「尿漏れ治療がわかる本(2002)」・「膀胱炎がわかる本(2004)」を発刊し、『間質性膀胱炎診療ガイドライン』・『女性下部尿路症状診療ガイドライン』・『過活動膀胱診療ガイドライン』を計5回分担執筆しました。また、日本女性骨盤底医学会(2015)、日本排尿機能学会(2020)、PPCS (Pan-Pacific Continence Society)(2021)、日本性機能学会東部総会(2022)などを大会長として開催させていただきました。2020年の日本排尿機能学会には上杉氏をお招きし、招請講演をしていただくことができました。国際学会では海外の先生と知り合い、ICS(International Continence Society)やIUGA(International Urogynecological Association)などでcommittee memberを経験したほか、共著の論文も執筆しました。また、自験例の英論文がCampbell-Walsh Urologyで引用文献になったのは嬉しかったです。

定年を迎えて、もっと若い時から頑張れば良かったと後悔もありますが、腎移植と癌がメインの女子医大にあって、他大学の先生方からのサポートを頼りにここまできたのだから、まあ上出来かな。という気もしています。

これで上がり。と思ったら最後の最後に、すでに始まっていた骨盤底機能再建診療部の教授公募が一言の相談もなく、突然途中で中止されました。足立の運営上の都合によりとされていましたが、当病院長から受けた事後報告は「教授の業績を満たすことは難しいが、准教授でなら迎えられる医師を学長がご存知らしい。」でした。しかしなぜ公募を中断する必要があったのか、また准教授の業績に満たない医師が学長推薦による准教授や診療部長になるのは困ります。女子医大のガバナンスやコンプライアンスが低下しないことを望みます。

定年後は少しのんびりする予定でしたが、都立大久保病院に昨年7月に小池都知事の発案で女性医療センターが開設されたことを機に、11月から月2回火曜日の午後女性泌尿器外来を始め、4月からの手術開始に向けて準備を進めています。加えて、第二の人生を優雅に過ごせるよう、常勤でも3日間働くことにしました。

最後に。チャンスは沢山転がっています。いくつになってもやりたいことがあれば、やった方がいい。正義は必ずしも勝たないことを知ったけれど、諦めない限り敗けたことにもならないと思うようになりました。

41年間お世話になりありがとうございました。女子医大は離れますが、至誠会理事として母校の発展に微力ながら貢献したいと思っています。皆様のご健康とご多幸を祈念しています。

足立医療センター 骨盤底機能再建診療部
巴ひかる


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