東京女子医科大学泌尿器科 腎泌尿器癌研究会 講演会一覧設立趣意書会則
東京女子医科大学泌尿器科 腎泌尿器癌研究会 The Society of Urological Disease at Tokyo Women's Medical University
■ 2023年度年報
ホーム1.はじめに2.医局構成・新入局員紹介3.東京女子医科大学腎センター泌尿器科および関連病院入院・外来・手術統計4.東京女子医科大学泌尿器科学教室 活動報告・2024年度の目標5.関連および協力施設 活動報告・2024年度の目標6.業績目録7.あとがき

4. 東京女子医科大学泌尿器科学教室 活動報告・2024年度の目標 >> 大学院研究室

大学院研究室 2023年度の活動報告および来年度への抱負

(1)泌尿器科腫瘍の研究
症例が豊富である当教室の利点を生かして、臨床検体を用いたトランスレーショナルリサーチに重きをおいた研究を行っており、臨床に結びつく研究結果を報告できるよう目指しています。既に多数の臨床検体を保管しており、これらを用いた複数の解析を他施設共同研究にて行っています。国立がん研究センター研究所免疫創薬部門との共同研究にて腫瘍免疫微小環境の研究を、国立がん研究センタートランスレーショナルインフォマティクス分野(山下理宇ユニット長)との共同研究にて透析腎癌の網羅的遺伝子解析を、カン研究所との共同研究にて腫瘍の免疫細胞の解析を、当院病理診断科及び横浜市立大学分子病理学講座との共同研究にて腫瘍の臨床病理学的特徴についての研究を、筑波大学腎・血管病理学(川西邦夫助教)を主幹とする国内多施設共同研究にて透析腎癌における網羅的糖鎖解析に関する研究等を行っています。国立がん研究センタートランスレーショナルインフォマティクス分野との共同研究である透析腎癌における網羅的遺伝子解析研究については、データがまとまり英文誌に投稿中です。また、筑波大学との共同研究である透析腎癌における網羅的糖鎖解析研究についても、現在データを論文にまとめています。

(2)腎移植領域の研究
最先端の多重免疫染色法CODEXでは、1つの腎生検サンプルから約40種類もの細胞マーカーを解析することが出来ます。この方法を用いて移植腎拒絶反応の新たなリスク因子を明らかにし、治療方法を考案する研究を開始しました。リキッドバイオプシーは低侵襲で繰り返し行えるため、早期診断や治療効果判定の新たなツールとして注目されています。ドナー由来cell free DNAをバイオマーカーとして測定し、移植腎拒絶反応との関連性を調べる研究を開始しました。低侵襲な免疫寛容誘導法の開発(ヒト免疫寛容誘導による腎移植への挑戦)、新規薬剤を用いた腎移植治療・臓器保存に関する研究、細胞シート工学を利用した腎移植治療法の開発、についても引き続き研究を継続します。

(3)その他の研究
アポトーシス抑制因子による制御機構はさまざまな分野で注目を集めています。AIM医学研究所との共同研究では、アポトーシス抑制因子と泌尿器科疾患の関連性を調べ、新たな予後予測マーカーや治療法の開発を目指します(アポトーシス抑制因子と泌尿器科疾患の研究)。また、人工知能(AI)を活用した研究を行っています。

今年度は従来の研究に加えて新たに多数の研究が開始され、まさに躍進を遂げた一年でした。現在、6名の大学院生が在籍しており、今年度は3名が卒業し、来年度は1名の新規大学院生を迎え、4名の大学院生で研究を継続します。Einsteinの言葉に「In the middle of difficulty lies opportunity.」というものがあります。今年の卒業生の中にはなかなか結果が出ず苦しい思いをされた先生もいらっしゃいました。しかし、最終的には「opportunity」を掴み取り「自分は総じて楽しかったです。」と卒業されたのが印象的でした。

来年度の目標は、研究室の移転、競争的研究資金の獲得、大学院生の獲得、です。特に高額な維持費がかかることから研究室の移転は急務の課題です。

次年度も、精一杯頑張ります。皆々様の御指導の程、宜しくお願い申し上げます。

石井瑠美


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