東京女子医科大学泌尿器科 腎泌尿器癌研究会 設立趣意書会則
東京女子医科大学泌尿器科 腎泌尿器癌研究会 The Society of Urological Disease at Tokyo Women's Medical University
■ 2021年度年報
ホーム1.はじめに2.医局構成・新入局員紹介3.東京女子医科大学腎センター泌尿器科および関連病院入院・外来・手術統計4.東京女子医科大学泌尿器科学教室 活動報告・2022年度の目標5.関連および協力施設 活動報告・2022年度の目標6.業績目録7.あとがき

4. 東京女子医科大学泌尿器科学教室 活動報告・2022年度の目標 >> 腎移植・腎不全・腎血管外科部門

コロナ禍における腎移植医療

腎臓移植チームは2020年1月来のコロナ禍にもかかわらず腎臓移植をコロナ禍前以上に行ってきた。入院前のドナー、レシピエントのコロナPCRを厳格に行うことでウイルスの感染管理とは正反対の移植医療を施行している。

2020年そして今年2021年に施行された腎移植数は年間130例を超え、名実ともに本邦ナンバーワンのゆるぎない地位を確保している。

東京女子医大は1971年に太田和夫先生が行われた腎移植第一例以来、今年で移植開始後50周年記念となる。

アザチオプリン、ステロイドで開始した免疫抑制も現在ではレシピエントの状態に合わせたテーラーメイドの治療を行い、50年前には50%以下であった1年生着率も今ではほぼ100%に達している。

昨年の年報にも書かせていただいたように、50年前には到底行われなかったクロスマッチが陽性に検出されるような症例もガンマグロブリンを大量に投与することで移植を可能にしている。

そして今回のコロナ禍が逆に腎移植医療において気づかせてくれたことも明らかになった。ワクチン接種によって作られる移植患者のコロナ抗体の陽性率である。移植学会や余丁町クリニック、女子医大泌尿器科が共同で行ったワクチン後のコロナ抗体の研究では、大変興味深い結果となった。ワクチン後のコロナ抗体の産生率(陽性率)が患者の免疫抑制によって明らかな有意差を示したことである。

2000年前後より継続して使用してきたタクロリムスとミコフェノール酸モフェチルの2剤併用は拒絶反応を劇的に改善して生着率を上昇させた一方で、2000年以前に使用してきた免疫抑制剤に比べて明らかにワクチン接種による抗体産生率を低下させていた。

今回のパンデミックは100年に1回のウイルス感染の流行であり、現在もなおさまざまな変異株が世界中で猛威を振るっている。しかしながら当たり前に行ってきた移植医療のなかで免疫抑制という本質に改めて気づかせてくれた大事な時間でもあったようである。ウイルスを逆手にとって移植患者にとってよりよい福音となるよう、さらに研究を続けてみたい。

2022年の目標 人を大切に、親切に、お互いを敬っていきましょう

石田英樹


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