東京女子医科大学泌尿器科 腎泌尿器癌研究会 設立趣意書会則
東京女子医科大学泌尿器科 腎泌尿器癌研究会 The Society of Urological Disease at Tokyo Women's Medical University
■ 2020年度年報
ホーム1.はじめに2.医局構成・新入局員紹介3.東京女子医科大学腎センター泌尿器科および関連病院入院・外来・手術統計4.東京女子医科大学泌尿器科学教室 活動報告・2021年度の目標5.関連および協力施設 活動報告・2021年度の目標6.業績目録7.あとがき

4. 東京女子医科大学泌尿器科学教室 活動報告・2021年度の目標 >> RCC研究部門

RCC研究

東医療センターに異動して、1年10ヶ月が過ぎました。当院は、区東北部(足立・荒川・葛飾:人口134万人)の唯一の救命救急センターを擁しているため、都内の同規模病院と比較して、赤血球製剤が約1.5倍、新鮮凍結血漿が約2倍と使用量が多い病院です。また、血液製剤総使用量の1/3を救命救急センターが消費している状況で、日夜緊急輸血の依頼が絶えません。合わせてCOVID-19罹患患者さんが常に20人前後入院し、多い時で人工呼吸器5台とECMOが1台回っている状況でした。そのためもあり、一時期手術件数が減りましたが、昨年の血液製剤総使用量は過去7年で最大となりました。

私は毎週木曜日に本院に行っており、午前中は泌尿器科外来で、午後は輸血・細胞プロセシング部で腎癌の患者さんに免疫療法の外来治療を行なっています。この免疫療法は患者さんからアフェレシスで末梢血単核球を採取し、院内の細胞加工施設(CPC)でγδ型T細胞を増殖調整し、投与するものです。昨年は5人の患者さんに計29件の投与を行いました。免疫療法を始めて5人の内3人が、8年〜10年経過している患者さんです。定期的に投与すると、末梢血中でγδ型T細胞の割合が高く保たれ、そのような患者さんでは長期に病状が安定します。また、再生医療等安全性確保法施行後にも10症例行い、そろそろまとめて報告しなければと思っているところです。治療開始前に試験的に培養を行い、目的とするγδ型T細胞が増えない患者さんでは、先行してTKIを半年ほど行います。そうするとT細胞の増殖が著明に改善することがわかり、現在主流になりつつあるTKI+IOのコンビネーションは、宿主の免疫能回復にも良い影響を与える組み合わせと思っています。現在CPCでは、泌尿器科のγδTと血液内科のNK細胞療法、心臓血管外科のハートシートの調製に使用しております。文科省から獲得した補助金と消化器外科と共同で作ったCPCも10年が経過し、あちこちに老朽化が目立ち始めていて、どこからか資金を調達しなければというのが目下の悩みです。

東医療センター 輸血・細胞治療部/泌尿器科 小林博人


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