東京女子医科大学泌尿器科 腎泌尿器癌研究会 設立趣意書会則
東京女子医科大学泌尿器科 腎泌尿器癌研究会 The Society of Urological Disease at Tokyo Women's Medical University
■ 2020年度年報
ホーム1.はじめに2.医局構成・新入局員紹介3.東京女子医科大学腎センター泌尿器科および関連病院入院・外来・手術統計4.東京女子医科大学泌尿器科学教室 活動報告・2021年度の目標5.関連および協力施設 活動報告・2021年度の目標6.業績目録7.あとがき

4. 東京女子医科大学泌尿器科学教室 活動報告・2021年度の目標 >> 小児・形成泌尿器科部門

2020年 小児・形成泌尿器科 活動報告

2020年はとんでもない1年でした。
その中で小児泌尿器はよほどの疾患でないかぎり不急の医療となりました。不急の治療であればコロナが落ち着くのを待ちたいという親御さんの意向も多く、定期通院していたこども達の受診も先延ばしになっている現状です。不足したスタッフを補うために小児病棟は病床数が半分になりました。高齢者と小児、一番弱い所にツケが回っているように思います。早く収束する事を祈るばかりです。

昨年の年報で「小児泌尿器科部門を自分の専門分野としていきたい若手がなかなか育っていないため、今後は縮小傾向になる事が予想される」と書きましたが、この度東京女子医大は小児泌尿器部門の看板を降ろす事になりました。東間前教授、山崎先生、家後先生が築いてきた実績ある部門を終わらせる事は非常に申し訳なく思いますが、中途半端な小児医療はむしろ子供を不幸にするという事実を目にする事も多く、田邉教授に一旦看板を降す事の許可をいただきました。不急かもしれないですが不要ではないので、今後新たに小児泌尿器を志す医師が現れれば復活の可能性はあると思います。

2020年は年間手術例数22例、年頭にHP上で部門を削除し、外部からの新患を停止、紹介患者さんには事情を説明し他院や小児外科を紹介してきての件数です。通常通りの診療を行なっていれば、やはり週に1症例ペースの手術にはなっていただろうと考えると、需要はあるのだと思わざるを得ません。他院に紹介した患者さんには申し訳ない気持ちでいっぱいです。

朗報もあります。女子医大の得意としてきた小児尿路結石、中でもシスチン尿症は乳幼児期の発症が多く、細い尿管をダイレーターで無理やり拡張し尿管鏡を挿入する手術に暴力的な印象を持っており、通常の手術における繊細さとは対極にあるようで個人的には好きではありませんでした。内服治療薬を増量する事で溶解できるとの情報を得て腎小児科の先生と内科的治療を積極的に行ったところ、良好な結果を得る事ができ、シスチン尿症の乳児に尿管鏡を挿入せず治療ができる目処がついた事は喜ばしいかぎりです。

私が仕事をする上で常に心がけてきた事(某番組で言う仕事の流儀)です。

  1. 我が子ならどうするか考える
  2. 本質的に治すべきものは何なのかを見失わない
  3. 美しい手術を目指す(機能的に優れているものは美しいフォルムをしていると思います)
  4. 自分の治療に確信を持つ

どこかに微塵でも綻びが出れば辞めるべきだと思ってきました。先天性疾患は時として常識が通用しません、いつまでたっても初めて見る病態に出会います。30年やっても知識も技術も未熟者の感が否めません、迷いがあります。前を向き続けるためには絶え間ない推進力が必要です。その推進力に衰えを感じ始めたという訳でこの度メスを置く事といたしました。

最後になりましたが、長きに渡り小児泌尿器・形成部門を支えていただきました田邉教授をはじめとする医局スタッフに深く感謝いたします。

鈴木万里


女子医大泌尿器科 小児・形成部門について

泌尿器形成部門の特徴は尿路形態異常を正常になるように整え 腎や排尿の機能を温存あるいは正常に近づける事と考えます。女子医大では先天性尿路疾患を持った成人に対して対応していたこと、腎小児科との連携で腎移植前の尿路奇形や排尿障害に対しての形成術や移植後の排尿管理をしたことが印象的でした。疾患によっては小児よりも成人が多く鈴木万里先生が大学に戻ってからは鏡視下での手術も始まり他大学病院とは一線を画していたと思います。2016年に退職するまで約30年の医者生活を女子医大泌尿器科で過ごしました。素敵な先輩と手術技術も臨床の考え方もとても優秀な後輩、パラメディカルの皆様方の支えがあって業績を積めたと思っています。今年度で小児・形成部門はなくなりますがまたどなたか興味をもって初めていただければいいなと思います。

家後理枝


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