東京女子医科大学泌尿器科 腎泌尿器癌研究会 設立趣意書会則
東京女子医科大学泌尿器科 腎泌尿器癌研究会 The Society of Urological Disease at Tokyo Women's Medical University
■ 2020年度年報
ホーム1.はじめに2.医局構成・新入局員紹介3.東京女子医科大学腎センター泌尿器科および関連病院入院・外来・手術統計4.東京女子医科大学泌尿器科学教室 活動報告・2021年度の目標5.関連および協力施設 活動報告・2021年度の目標6.業績目録7.あとがき

4. 東京女子医科大学泌尿器科学教室 活動報告・2021年度の目標 >> 大学院研究室

大学院研究室 2020年度の活動報告および来年度への抱負

今年度の研究活動内容は、前年度を引き継いだ内容に加え、新たな研究テーマがスタートしました。活動状況を報告します。

(1)移植免疫寛容誘導の研究
移植免疫寛容を誘導して移植治療を行えば、免疫抑制剤の長期的な内服が不要となります。しかし、免疫寛容誘導には侵襲的な前処置を必要とすることや、移植片対宿主病のリスクがあることから、広く臨床応用されるには至っていません。そこで、当研究室では低侵襲な免疫寛容誘導法の開発を行い、臨床応用を目指しています。これまでの研究では、REGiMMUNE社と共同研究を行い、NKT細胞を効率的に活性化することで、低侵襲な免疫寛容誘導法を報告し、多数の論文報告や学会発表を行なってきました。日本初のヒト免疫寛容誘導による腎移植を成功させるべく、今後も研究を継続します。

(2)腫瘍領域の基礎研究
1名は、国立がん研究センター研究所免疫創薬部門との共同研究にて膵癌、肺癌の腫瘍免疫微小環境の解析を、カン研究所との共同研究にて転移性腎癌における免疫チェックポイント阻害剤使用時の末梢血免疫細胞の解析を、当院病理診断科及び横浜市立大学分子病理学講座との共同研究にて転座型腎細胞癌の臨床病理学的特徴の研究を、当科研究室にて腎癌の腫瘍免疫微小環境の解析を行っています。もう1名は、国立がん研究センター研究所エピゲノム解析分野(牛島 俊和分野長)にて、(1)透析腎がんのゲノム・エピゲノム異常、(2)胃良性腫瘍のゲノム・エピゲノム異常、(3)がんにおけるDNA脱メチル化とヒストン修飾の関係、(4)DNA脱メチル化剤による合成致死に基づくがんの治療開発、について研究をしています。このうち、(1)に関する成果は論文にて発表されました(Cancer Sci. 2020 111(11)4276-4287)。さらに、新たに筑波大学腎・血管病理学と透析腎がんの糖鎖解析に関する共同研究が始まりました。腫瘍領域の基礎研究では、臨床症例が豊富な当院の特徴を生かして、臨床検体の解析に重きをおいた研究を目指しており、外来や病棟の先生方のご協力によりすでに多数の貴重な臨床検体が保存されております。これらの臨床検体を生かして、外部の研究機関との共同研究を開始しています。この結びつきをさらに強くしていくことで、臨床に結びつく研究ができるようになることを目指します。

(3)新規薬剤による腎移植治療・臓器保存に関する研究
腎移植治療の研究と虚血再環流障害に代表される臓器保存に関して、カン研究所とは2つの新規薬剤についての共同研究を行っています。本年度は一定の成果が得られ、来年度も研究を継続します。

(4)腎移植治療における人工知能(AI)活用法の研究
腎移植治療では複雑な診断、治療過程が求められます。アクセンチュア株式会社と共同研究を行いAIを活用することで、ドナーとレシピエントの腎移植前後の観察検査項目データから拒絶反応や副作用を予測し、将来的な臨床現場における活用と、より効果的な治療法の選択、そして患者様のQOLの向上につながることを期待しています。来年度も研究を継続します。

本年度は、総合研究棟から巴研究教育棟へと研究室が移設となりました。今回の移設では、実験動物研究所・総合研究所・各診療科・基礎系教室を含めた大規模な移設となりました。コロナ禍の影響、面積の縮小に加え、移設による機器の故障(X線放射線装置やフローサイトメーター等)が相次ぎ、未だに本格的な実験を再開できていないのが現状です。しかし、塞翁が馬というように、来年度は実り多い一年になると信じています。

次年度も、より多くの成果を上げられるよう精一杯頑張ります。皆々様の御指導の程、宜しくお願い申し上げます。

石井瑠美


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