東京女子医科大学泌尿器科 腎泌尿器癌研究会 設立趣意書会則
東京女子医科大学泌尿器科 腎泌尿器癌研究会 The Society of Urological Disease at Tokyo Women's Medical University
■ 2015年度年報
ホーム1.はじめに2.医局構成・新入局員紹介3.東京女子医科大学腎センター泌尿器科および関連病院入院・外来・手術統計4.東京女子医科大学泌尿器科学教室 活動報告・2016年度の目標5.関連および協力施設 活動報告・2016年度の目標6.業績目録7.あとがき

4. 東京女子医科大学泌尿器科学教室 活動報告・2016年度の目標 >> RCC研究

RCC研究 2015年活動報告と2016年度の目標

2015年は細胞治療や再生医療に携わっているものに取って大変忙しい1年だったと思います。それは平成25年11月27日に公布された「再生医療等の安全性の確保等に関する法律」が平成26年11月25日に施行されるにあたり、その準備に追われたためです。これはいわゆるガイドラインではなく、法律ですので、違反をすると罰則が科せられます。具体的には、法令に準拠した認定細胞加工施設で、厚労省に届出をした細胞加工製品を提供しなければならないというものです。許可を受けないで細胞を培養して提供すると、細胞の種類によっては3年以内の懲役または300万円以下の罰金となり前科者になってしまいます。まず細胞加工施設の届出準備ですが、施設基準のチェックリストだけでも50項目以上あり、施設運営のための書類もA4で10cmくらいの厚さになりました。この締め切りが昨年5月24日にあり、無事受理され施設番号をいただきました。次にそれぞれの細胞について提供計画書を作成しなければなりません。この計画書は、細胞の種類によって「認定再生医療等委員会」または「特定認定再生医療等委員会」で審議されます。この委員会も新たに作る必要があり、当初はTWInsとの共同の委員会設立の話も出たのですが、結局「認定再生医療等委員会」を院内に設置することになりました。これも定款から外部委員の選定、一般の人等々を準備して、院内で承認されたのちに、厚労省へ届け出てこちらも無事承認となり、「東京女子医科大学認定再生医療等委員会」として11月2日に承認番号を頂きました。この時点で新法施行まであと3週間になり、委員会承認の2週間後に第1回の認定再生医療等委員会を無事開催できました。この委員会では「再生医療等計画書」を審議するのですが、この審議項目も計画書一つについて70項目以上あり、齟齬がないか、技術的あるいは倫理的に問題がないかを検討します。委員会の後に、指摘事項を修正し、これも11月24日前になんとか厚労省に受理してもらいました。現在は泌尿器科では、腎癌、前立腺癌に対するγδ型T細胞療法、消化器外科では樹状細胞療法、血液内科のNK細胞療法、婦人科卵巣癌のγδ型T細胞療法が受理されております。今後も消化器外科の肝癌NK細胞療法、肝移植免疫寛容導入、副甲状腺癌の樹状細胞療法等が予定されており、まだまだ事務仕事も続きます。

研究としては、γδ型T細胞療法の今後の出口として、昨年から企業との共同研究を始めております。将来的には「γδ型T細胞製剤」として治験を行い、何とか細胞製剤として世に送り出したいと考えております。細胞療法も遺伝子改変T細胞やCAR-T細胞(リンパ腫では90%以上寛解になります)といった新しい細胞製剤をノバルティスなどの大手製薬会社がグローバルで治験を始めたり、骨髄移植後のGVHD治療薬としてアロの間葉系幹細胞製剤が日本でも発売されたりし始めています。2016年も「γδ型T細胞製剤」の開発を進めていきますので宜しくお願いします。

小林博人

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