東京女子医科大学泌尿器科 腎泌尿器癌研究会 設立趣意書会則
東京女子医科大学泌尿器科 腎泌尿器癌研究会 The Society of Urological Disease at Tokyo Women's Medical University
■ 2015年度年報
ホーム1.はじめに2.医局構成・新入局員紹介3.東京女子医科大学腎センター泌尿器科および関連病院入院・外来・手術統計4.東京女子医科大学泌尿器科学教室 活動報告・2016年度の目標5.関連および協力施設 活動報告・2016年度の目標6.業績目録7.あとがき

4. 東京女子医科大学泌尿器科学教室 活動報告・2016年度の目標 >> 小児・形成泌尿器科部門

2015年 小児・形成泌尿器科部門 報告

2015年は女子医大での小児医療にとってはいろいろと体制がかわり現場にとってはやりにくい状況となった年である。急変時の小児緊急連絡網と重症合併症を持つ子供の外科的処置を行う場合の複数科の連携体制は別個のものとして見直され対応されるべきと考える。現場で柔軟に対応できていた事がぎくしゃくしているように思うし実務にそぐわない対応を指示されると何のための連携かと思うところである。

2015年の入院は50例、その内手術・処置は49例であった。大学病院の特徴としては成人例がそれなりに含まれている事である。腎盂尿管移行部通過障害8例(すべて開腹、成人例6例)、膀胱尿管逆流は開腹5例 デフラックス注入5例(移植腎4例、成人1例)であった。小児結石はTUL7例であった。停留精巣2例 精巣捻転2例 陰嚢水腫4例 包茎 4例であった。腎移植後の方で排尿機能障害に対して膀胱皮膚瘻造設2例があった。膀胱皮膚瘻例は発達障害があり将来も排泄管理上オムツが必要な方に行っている。腎盂尿管移行部通過障害例はopenの手術を了承していただいて手術をしているが複雑に血管が絡んでいたりしてopenの方が確実だったと思われる症例がほとんどであった。移植腎の膀胱尿管逆流に対してのデフラックス注入は治療方法の選択肢としてとらえ、実際注入後尿路感染症の頻度は減少しているようである。2015年に入り外来医長金光先生の奮闘で婦人科と連携を取り婦人科の術前に尿管ステントを留置するようになった。処置後の気分不快がほぼ必発の様だが術中術後の尿管損傷は激減したように思う。

外来では包茎の相談や2〜3歳時検診で停留精巣を指摘されて受診する子どもたちがいる。包茎は家族の希望で、将来いじめられたら困るとか海外で生活するようになった時ハンディになるからなど先々の心配から相談を受けることが多い。医学的適応はないため子ども本人が手術を希望したときに手術をするようアドバイスし、親の意向だけの手術は断っている。2〜3歳時検診で初めて指摘されるような停留精巣はほとんどが移動性精巣である。診察時の条件などから精巣がすぐ拳上するタイプでは停留精巣の診断となってしまうからなのだが検診を担当する小児科医への診察方法の啓蒙も必要かと思われる。

腎盂尿管移行部通過障害例は成人例が6例ある反面小児の結石症例が7例あった。成人水腎症の対応ができる施設が少ない事、症状が強く出ている事が多いなどから開腹でも早期の処置を希望するようである。小児結石例は小児病院が機材や技術的な問題から対応していないため年間5〜8例は経験している。破砕できない場合もあり子供の体格や尿管径、機材の使い方など毎回試行錯誤している状態である。結石例には心身障害児など全身管理の難しい症例があり小児科に連携を依頼して処置を行っている。今後も連携が必要な症例が増えると推察される。

東5階小児外科系病棟は3階にある小児科病棟との連携を取りながら運営されている。院内学級の若松学級も常に2〜3人は通っているし家庭の事情で登校経験のない子どもが院内学級で学校の雰囲気を体験して退院後登校できるようになったとも聞く。病気の治療が第一ではあるがその子の生活・成育環境への配慮も必要になっていくことであろう。外来、病棟のスタッフに感謝して新しい年もできることを地道に確実にこなしていくことが大事と考える。

家後理枝

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