東京女子医科大学泌尿器科 腎泌尿器癌研究会 設立趣意書会則
東京女子医科大学泌尿器科 腎泌尿器癌研究会 The Society of Urological Disease at Tokyo Women's Medical University
■ 2012年度年報
ホーム1.はじめに2.医局構成・新入局員紹介3.東京女子医科大学腎センター泌尿器科および関連病院入院・外来・手術統計4.東京女子医科大学泌尿器科学教室 活動報告・2013年度の目標5.関連および協力施設 活動報告・2013年度の目標6.業績目録7.あとがき

4. 東京女子医科大学泌尿器科学教室 活動報告・2013年度の目標 >> 腫瘍部門

腫瘍部門 活動報告・2013年度の目標

2012年度は、TURBTなどの内視鏡手術は青山病院で、全身麻酔下の手術は本院で行うことになり、2つの病院で1つの診療科としての手術を行うという体制となりました。また前立腺癌や腎癌についても、早期の手術を希望する方や筋層浸潤膀胱癌の術前化学療法を御願いしたりなど、前田講師と橋本講師には多くのご協力をいただきこれまでになくスムースに本院では手術症例をこなすことができるようになりました。

本院では、2011年度より立ち上がったDa Vinciを用いたロボット補助下腹腔鏡下前立腺全摘がほぼ軌道に乗り、週2回コンスタントに行える様になりました。これからは少しずつ術者を増やしていくことが課題であろうと思います。このDa Vinciを用いた手術では、倫理委員会の承認のもと、腎部分切除が2013年1月よりスタートしております。まだ通常の腹腔鏡下手術とおなじcriteriaで行うようにとの倫理委員会での制約があり、しかも自費であることからなかなか症例として大きく増えるわけではありません。ただ近い将来保険収載されることは確実であり、少しでも症例を積み重ねていくことが重要であると思います。また膀胱全摘除術も現在倫理委員会申請中で、そのために現在腹腔鏡下膀胱全摘術も行っています。今後は、これらの3手術および腎盂形成術は通常の腹腔鏡では行われなくなり、ロボット補助下手術へ移行するでしょう。

こうした新しい取り組み行いながら、腎癌の手術件数は256件と、2011年で200例を越えてすぐにさらにつぎの目標を超えることとなりました。青山病院のご協力により手術枠をより全麻手術に使えるようになったり、ドナーの手術時間を短くしていただいたおかげでそのあとにもう1件手術を入れてもらえるようになったなど、手術枠の有効活用は大きな一因と思います。また以前に比べて下大静脈塞栓症例や他院で手術不能と診断される腎癌、あるいは再発症例、後腹膜腫瘍なども多くなっている様な印象があります。

しかしそれで患者の手術待機期間が短くなったかというとそうではありません。以前と同様2-3ヶ月待ちとなり、手術件数の増加とともに外来患者も増えています。患者数増加の理由を考察してみると、以前から私たちは積極的に腎温存手術を行っておりますが、患者に聞くとインターネットで「腎部分切除」と調べるとすぐに当院の記事などに当たるようで、それを参考に当院を受診したという方がかなり多く見られます。これには、普段から臨床研究を行いわれわれの治療結果の検証を行い報告し、新たな治療へつなげてきたという姿勢によると考えております。現在も腎部分切除の仮性動脈瘤や術後の出血を減らすために実質無縫合法を取り入れたり、是非はありますが術直後の造影CTでの早期発見など、いろいろな取り組みを行っております。こうしたことが日本だけではなくAUAなどで発表できる演題となり、2013年も臨床演題で4題が採択されています。日本からの他大学のAUAの演題のほとんどは基礎実験であり、正直言うとほとんどの欧米の医者は見ていません。やはり臨床研究でacceptされるようなデータをだすことが、臨床医の目の触れるところとなり、回り回っていろいろな雑誌などからも取り上げてもらえるようになってきます。それが結果的に患者数の増加につながると信じております。とくに当院は私立医大ですから患者を治療してなんぼです。つねにこれまでの治療を検証し、新しい治療につなげていくという作業を立ち止まることなく続けていくことが大事です。

昨年論文を書くように促してもやはり書くのは高木先生だけかと思っていましたが、大前先生から投稿された論文が1編あり、他に池澤先生、吉田先生、八木澤先生などから論文の下書きが来るようになりました。非常に喜ばしいことです。今年は高木先生が留学、吉田先生は大学院とさらにステップアップしてきてくれると思います。当科の臨床がさらに発展できるよう私自身もいろいろと努力していきたいと思います。それには体力も必要です。今年はフルマラソン5時間切りを達成しましたので、次は4時間50分切りをめざして週末ランに励みたいと思います。

近藤 恒徳

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