平成15年から始めたγδ型T細胞を用いた免疫療法も既に7年が経過しました。始めた当初は微生物・免疫学教室の共用培養器を使用していて、コンタミしないか毎日ハラハラしておりました。今は無菌細胞調整室内に専用の培養器があり、炭酸ガス透過性の細胞培養用のバックを用いていますが、当時は普通のカルチャーフラスコで培養していたので、2週間目にはフラスコが50個以上になってしまい、他の研究者のスペースまで占拠してしまいました。そして、最終的な細胞浮遊液の品質チェックも自分たちでエンドトキシン等を測定していました。今ではそんなことをしていたら、もう非難の的です。最近は、年々新しくなるガイドラインを理解したり、毎日京都大学の探索医療センターとメールのやり取りをしてプロトコルを改訂したり、作ったり、SOPという無菌細胞調製室内のマニュアルをアップデートしたり、厚労省の局長通達や先進医療・高度医療の議事録をチェックして今後の動向を探ったり、厚労省まで相談にいったりとあまり研究者らしい事はしていないような気がします。京都大学の難病創薬スーパー特区に参加させていただきましたが、スーパー特区自体には予算が付いていないので、研究費は自分たちで調達しなければなりません。幸い2009年に文部科学省「橋渡し研究推進プログラム」に採択されたので、今後5年は継続できるようになりました。5年とは言っても初年度はもう終わりますし、次年度末の中間審査次第では、中止になるか予算減額の可能性もあります。今腎癌の試験は4月には高度医療に申請する予定で、その他前立腺癌、膀胱癌と対象疾患を広げる計画です。女子医大から世界に向け、免疫療法の標準化を目指して、2010年もよろしくお願い致します。 |