女性排尿障害センター単独での来院患者数は減少しているが、仕事の内容は充実しつつある。昨年の手術件数はTVTスリング手術20件、膀胱脱に対する膣前壁補強術3件、間質性膀胱炎に対する水圧拡張術4件、尿道憩室に対する尿道形成術3件、尿管膣瘻に対する尿管膀胱新吻合術1件という内容であった。今年の抱負を述べる前に、昨年の年報での目標達成度を振り返ってみようと思う。昨年は教育体制の充実、院内での排尿機能ネットワークの構築、女性泌尿器科医の育成の3つの目標をあげた。教育体制の充実に関しては、毎週火曜日の朝のNBカンファは根付き、その前の週に行ったビデオウロダイナミクスの症例(平均2〜3例)を供覧し、専門医試験を控えた先生に所見を言ってもらっている。正常症例の蓄尿期、低コンプライアンス症例の蓄尿期、プレッシャーフロースタディなど期せずしてみることとなり、排尿障害への理解は深まりつつあるのではないかと予想している。小児、移植関連も含めて透視下ウロダイは2009年には平均月21件程度行っている。移植のウロダイを行っていた角山先生が抜けられたのは痛手だが、一回り成長して帰られることを待ち望んでいる。院内での排尿機能ネットワークについては、他科の排尿機能患者さんのコンサルトを受けるくらいで、ネットワークとは言いがたい状態である。今年度も引き続き課題としたい。女性泌尿器科医の育成については、入局者、臨床研修医の先生方を迎えることができた。
さて、今年の目標であるが引き続き教育体制の充実をあげたい。やはり泌尿器科専門医試験でも排尿機能関連の問題が大きなウエイトを占めること、一般病院での外来では排尿障害関連の患者が大部分を占めることなどがあり、泌尿器科医にとって、排尿機能の正確な理解は不可欠な知識であろう。自分一人で外来をやる状態になっても、問診、検査、診断、治療のプランが的確な知識に基づいて立てられることが大切である。そのためにも、もちろん自己学習は必須であるが、カンファなどで排尿機能が話題にでることが知識の底上げにつながると考える。昨今の排尿障害治療薬の増加は著しいものがある。それぞれの症例に、どんな薬剤を使用するか、どんな治療がふさわしいかを全員が参加するような形でディスカッションできるのが夢である。
第2の目標として引き続き院内での排尿機能ネットワークの構築をあげたい。整形外科、脳外科、神経内科、糖尿病内科、婦人科など神経因性膀胱による排尿障害を来す疾患のある科は多岐にわたる。いずれの大学病院の泌尿器科でも術後に尿道カテーテルを抜いたあと、尿閉になって初めてコンサルトを受けることがあるときく。これらの患者に泌尿器科医が術前から関わることで、術後の患者のショックを和らげスムーズな退院へむけてすすむことができると考える。そのために少しずつではあるが、他科への連携の働きかけ、フィードバックなどを行うことを考慮中である。
第3の目標としてはやはり女性泌尿器科医の育成である。冨田班長から金光班長へと4月には班長も替わることとなる。彼女達が過酷な毎日ながらいきいきと働いているのをみるにつけ、あとに続く女性医師を増やしたいと考える。そのために学生さんたちには積極的な働きかけを行うことを心がけたい。
最後は昨年と同様であるが、女子医大排尿機能班がメジャーになれる日のためにがんばります。皆様方のご声援をお願い申し上げます。 |