東京女子医科大学泌尿器科 腎泌尿器癌研究会 設立趣意書会則
東京女子医科大学泌尿器科 腎泌尿器癌研究会 The Society of Urological Disease at Tokyo Women's Medical University
■ 2009年度年報
ホーム1.はじめに2.医局構成・新入局員紹介3.東京女子医科大学腎センター泌尿器科および関連病院入院・外来・手術統計4.東京女子医科大学泌尿器科学教室 活動報告・2010年度の目標5.関連および協力施設 活動報告・2010年度の目標6.業績目録7.あとがき

4. 東京女子医科大学泌尿器科学教室 活動報告・2010年度の目標 >> 小児・形成泌尿器科

小児・形成泌尿器科 活動報告・2010年度の目標

小児泌尿器科部門の活動報告を書くようになってから丸6年が経った。人の一生でいえば小学校入学時期にあたる。社会性が広がる時期と考えてよいだろう。成人例もあるため勝手に小児・形成泌尿器科と名づけ、社会性を広げる目的で対外的な活動にも目を向けて行きたいと思う。

2009年は延べ96名の入院(腎小児科入院含む)があり何らかの外科的処置・検査を行った方が95名となった。主な内訳として水腎症 20名(うち成人6名) 膀胱尿管逆流症 14名(うち成人5名) 停留精巣 10名 尿路結石 11名(延べ)であった。以前より行っている術当日来院→同日退院症例は27名となった。風邪などで中止になった症例を含めると大体100例ほど手術予定としたことになる。
入院に関しては内科系病棟の新設に伴い現在の東病棟5階を小児外科系入院病棟として運営することが正式に決定し、2010年6月以降の実働が可能となった。泌尿器科としては実質の病床増になり小児の入院で泌尿器科病棟医長を悩ませる事もなくなるであろう。さらにVURの内視鏡下尿管口注入治療に用いられるデフラックス(商品名)が2010年1月に厚生労働省の認可が下りて使用できる状態になった。治験を行った時期から考えると“やっとだ”という感は否めないが、VURに対する治療方法が注入療法に変わってくると手術時間が大幅に短縮されるため1日に3〜4例の手術が可能になってくるのでさらに手術症例数は増えると思われる。

手術の技術を若手へ教育伝授することも大事だが、できることならば外来検査特に膀胱機能検査と核医学検査を指導教育できればと思う。核医学検査へ家後が携わるようになってすでに10年以上になる。2009年では約90件の検査を担当している。やることは単純なのだが小児例では点滴確保から鎮静まで行うため手間はかかる。これを1人でこなせる人材を募集中である。また膀胱機能検査は小児関係で年間約90件の検査件数がある。成人での膀胱機能検査は小内先生が頑張って軌道にのってきたが成人の中にも小児期からの神経疾患や下部尿路疾患を引きずった方が居る。この方たちは小児期にきちんと疾患を理解して日常生活上の処置を行っていれば別な人生があったのではと考えてしまう。
子どもたちを相手にしている身としてはこんな大人にはしないぞと密かに決意を新たにしている。

2009年は対外的には院内ではあったが一般小児科Drを対象に鈴木先生が先天性尿路疾患のレクチャーを行った。また検査技師を対象としたレクチャーの機会もあり腹部エコーでの腎盂拡張(水腎症)の程度をどのように表現し記載すればよいかを話していただいた。
このような機会は貴重であり今後も積極的に小児泌尿器科関係の最新知識の普及を行っていきたいと思う。

外来は定期受診の子どもたちを“大きくなったね”と言いながら診察するかと思えば非常に優秀な小児科Drより「3年ほど内科的に経過をみましたがVURが改善しませんので手術をお願いいたします」といった紹介状と3回分ほどのVCUGとDMSAシンチのフィルム持参で受診する子どもの手術予定を立てていたりする。おねしょ、昼間遺尿の子どもも多い。さらに2009年は金光先生が東医療センター外来で診察した水腎症や膀胱機能障害の子どもたちも本院で検査・手術をしてきた。東医療センターの小児外来は受診者も増え軌道にのってきた感じがあり今後も継続していく必要はあると思われる。

最後に毎回のことではあるが成人病棟の中で小児を診てくれている病棟スタッフと当日入院なんてできないよ〜と時々悲鳴を上げながらなんとか入院をやりくりしていただいている病棟医長、さらに点滴・採血時の泣き声に付き合ってくれる外来スタッフに感謝をしたい。とにかく術後の合併症なく入院期間の時間経過が子どもにも周囲のスタッフにもストレスにならないよう外来での術前手配や手術術式を工夫し細心の配慮をもって治療を行うことを再度肝に命じて今後も子どもたちと向かい合っていきたいと思う。

家後 理枝

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