昨今の厳しい医療経済の中、当院は、院長を中心に結束して、医療の質の向上、経営の改善に尽くしており、済生会グループの中にあっても。数少ない黒字経営の病院となっている。病院のサービス向上、職員意識の変化、パスの整備などは、私が、赴任した頃と比較して、隔世の感がある。このためか。医師も気持ちよく仕事ができると思われ、当科に研修にきていただいた先生は、皆さん、またこの病院で働きたいといっていただいている(これは、多分におせいじも入っていると思いますが)。
昨年は、当院主催で、日本クリニカルパス学会を開催し大成功のうちに終わった。泌尿器科においても、PSA地域連携パスについて報告し、今春より、いよいよ、川口医師会泌尿器科部会として、PSA検診の標準化を目指して、パスの運用を開始する。このような啓蒙活動の結果か、最近、PSA高値に対する精査依頼が急速に増加しており、外来は慢性の混雑状態で、当院の中でも、最も待ち時間の長い科の1つとなっており、頭の痛い問題となっている。臨床では、昨年は脳死腎移植をおこなったことがトピックスであるが、基本的には、スタッフが、がん領域の関心が高いこともあって、前立腺癌を中心とした、がん患者の治療が大半を占めている。2008年手術統計からも、その傾向がうかがわれ、ブラッドアクセス、TURPを除いて、しだいに癌手術の占める割合が増えてきている。
また、この春より、当院は、念願の<がん診療連携拠点病院>となった。このため、地域へ開かれたさまざまながん治療、啓蒙活動が義務づけられており、今年は、ますます癌患者増加の傾向に拍車がかかるものと思われる。当院へ研修に来られた先生には、大学では、目を向けることの必要性の少ない、がん患者と地域医療、疼痛緩和医療など、手術のみならず幅広い癌治療の研修を受けていただくつもりでいる。 |