昨今、女子医大内部でも収支に対する要求が厳しくなり、更に昨年よりの金融不安、景気悪化の煽りを受け、成人医学センターも厳しい状況に置かれている。当センターの特徴は、女子医大の中で検診センターを中核とした外来部門であり、現在、検診会員は、約2600名、検診企業は、約18社あるが、世の中がこのような不況となると、検診を控える、または検査内容を簡素化する企業も増加する傾向にあり、今後どのように患者を増やすかが今後の鍵になる。
また、検診会員も高齢化が進み、通院に歩道橋を通らなければならないという当センターの立地条件も問題になっており、3年後の渋谷駅前に高層ビルへの移転も視野に入れている。現在、院内で職員一丸となり、収支を好転させるための経営努力をおこなっている。
2008年度、泌尿器科としての出来事は、旧膀胱鏡が劣化したため、軟性膀胱鏡を導入した。これにより患者への侵襲も少なく、積極的に施行しやすくなり膀胱鏡の症例が増加した。検診施設であるため、PSA高値、顕微鏡的血尿、頻尿を主訴にされる患者さんが他の施設より頻度的に多いのではないかと思う。なかでも、検診でのGray Zone のPSA高値を主訴に来られる患者が多く、昨年の外来でのTRUS下前立腺針生検は約20例のうち約50%に前立腺癌を検出している。昨年も言及したが、80歳以上の患者も多く、生検の適応を決めるのに悩むことも多い。75歳以上の高齢者、遠隔地住居者、抗凝固剤内服者に関しては、安全面から、青山病院に1泊〜数日入院での生検をお願いしている。
早期癌患者のほとんどが本院の前立腺センターで治療を希望されるため、橋本先生はじめスタッフの方には大変お世話になっている。また、手術設備、入院施設がなく、手術適応のある患者さんは、居住地などにより、女子医大関連施設に紹介して手術をお願いしている。
今年度も、さらに青山病院との連携を密にし、内視鏡関係手術や腰椎麻酔で行える手術症例を増加させたい。また今年も、丁寧親切な外来診療に力を注いでいきたいと考えている。 |