東京女子医科大学泌尿器科 腎泌尿器癌研究会 設立趣意書会則
東京女子医科大学泌尿器科 腎泌尿器癌研究会 The Society of Urological Disease at Tokyo Women's Medical University
■ 2008年度年報
ホーム1.はじめに2.医局構成・新入局員紹介3.東京女子医科大学腎センター泌尿器科および関連病院入院・外来・手術統計4.東京女子医科大学泌尿器科学教室 活動報告・2009年度の目標5.関連および協力施設 活動報告・2009年度の目標6.業績目録7.あとがき

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下部尿路Endourology領域 活動報告・2009年度の目標

今年度の下部尿路Endourology領域の研究テーマは、1)前立腺肥大症に対する低襲侵手術としてのエタノール注入療法、2)前立腺癌に対するChemoablation(エタノールおよび抗癌剤の直接注入)、3)エタノ−ル注入療法併用TURPであった。臨床報告として、TURP時の出血を減少させる目的で2006年9月より開始した「エタノ−ル注入療法併用TURP」の26例における良好な臨床成績をWCEで発表した(N. Goya, T. Shimizu, J. Iizuka、et al.:Ethanol injection to reduce bleeding during transurthral resection of the prostate. (26th World Congress of Endourology and SWL. 2008, Shanghai)。さらに第97回日本泌尿器科学会総会で発表予定である。本法は、通常のTURPに比較して手術中の出血を減少させることにより良好な視野での手術が可能なこと、TUR反応のリスクが少なく安全にTURPを施行できることが確認された。今後普及する可能性は大きく、今後も積極的に臨床研究を重ねていきたい。低襲侵手術としての前立腺エタノール注入療法(EIP)は、前立腺肥大症1例(合計で120例)、尿閉を呈した前立腺癌1例に対して施行された。

下部尿路Endourology領域の2008年の手術件数であるが、前立腺肥大症 42例(膀胱頸部硬化症3例を含む)に対し、TUR-Pを 42件(TUI併用例を含む)、EIPを 1件行った。膀胱腫瘍に対しては 123件のTUR-Bt(生検を含む)が施行されたが、悪性腫瘍と診断されたのは107件であり、残り16件は良性であった。TUR-Btの件数は昨年(122件)とほぼ同様であったが、病理結果で「悪性なし」と診断された症例が、昨年の17件に引き続き今年度もやや多かった。今後、患者の負担を減らすためにもまた病棟でのベッド不足を軽減させる意味でも、生検が必要な症例と不要な症例を見極めることを検討するのも重要であろうと思われる。その他の下部尿路内視鏡手術としては、尿道狭窄に対して内尿道切開術が2例に、膀胱結石に対し内視鏡的結石除去術が1例に行われた。

臨床研究として、膀胱腫瘍の再発予防を目的に「中等度リスク表在性膀胱癌に対するBCG(イムシスト)膀胱内投与の検討」(担当:近藤恒徳先生)の臨床研究が進行中である。また前立腺肥大症に対する薬物治療として、シドロシン(ユリーフ)とコハク酸ソリフェナシン(ベシケア)を使用する「排尿障害に対するα遮断薬単独投与と併用療法の有用性比較試験」(担当:清水朋一先生)が継続中である。

2009年度は上記の臨床研究を積み重ねることにより、手技的に確立するとともに成績の安定を目指し、さらに発展させていく所存である。
合谷信行

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