東京女子医科大学泌尿器科 腎泌尿器癌研究会 設立趣意書会則
東京女子医科大学泌尿器科 腎泌尿器癌研究会 The Society of Urological Disease at Tokyo Women's Medical University
■ 2008年度年報
ホーム1.はじめに2.医局構成・新入局員紹介3.東京女子医科大学腎センター泌尿器科および関連病院入院・外来・手術統計4.東京女子医科大学泌尿器科学教室 活動報告・2009年度の目標5.関連および協力施設 活動報告・2009年度の目標6.業績目録7.あとがき

4. 東京女子医科大学泌尿器科学教室 活動報告・2009年度の目標 >> 小児泌尿器科部門

小児泌尿器科部門 活動報告・2009年度の目標

2008年は小児泌尿器科部門にとっては手術症例数もふえ1つ階段を上がった状態となった。入院数は97例、そのうち手術・処置は94例(成人 16例、小児 78例)であった。2007年に比べると 入院数で23例、手術・処置で20例の増加である。大きな要因は神奈川こども医療センターで研鑽をつんだ鈴木万里先生の帰局である。ハッピィ マンディで手術日は少なくなっているのにもかかわらず手術件数は増え、入院延べ人数は増加した。典型的疾患の手術手技は確立しており、術中・術後のトラブルもなく短期入院を実現できている。
一足先に神奈川こども医療センターで研修し大学にもどっていた金光泉先生は鈴木先生の帰局と時期を同じくして東医療センターへ移動となり、東医療センターでの小児泌尿器科部門を担当することになった。東医療センターの小児泌尿器部門については以前より中澤先生との間で懸案になっており、金光先生のおかげで少しは具体化できたかと思う。停留精巣の手術は鈴木先生が手伝いに行く形で東医療センターでも行った。また水腎症などの子供たちの紹介経路として、小児科→金光先生→大学へといった流れが出来つつある。2009年秋に金光先生が大学へ帰局することが決まっているため東医療センターでの小児外来の存続を是が非でも確保したいと考えている。

入院期間は現在 停留精巣・ソケイヘルニア・陰嚢水腫・包茎は1日入院、片側膀胱尿管逆流症の膀胱外からの逆流防止術例と水腎症の腎盂形成術施行例(尿管ステント留置)では術翌日退院、両側膀胱尿管逆流症の膀胱内逆流防止術例で術後2日目の退院が通例となってきている。午前中に腎盂形成術を行った幼児が夕方に様子を見に行くと、けろっとして座って食事をとり絵本を見ている。家族から“痛くないのでしょうか?”と聞かれるが、こちらも乳幼児の回復力・生命力にはいつもびっくりさせられている。
関東方面の小児泌尿器科医は独自のネットワークを持っている。緊急の症例はネットワークを駆使し対応できる施設を探すことが出来るし、またセカンドオピニオンの体制も出来ている。治療に難渋している症例は施設間の垣根をこえたカンファが持たれ、研究会も行われている。研修医の参加は大歓迎である。
ここ数年腎臓小児科で腎移植を行う子供たちに下部尿路疾患を伴った症例がふえているように感じる。また小児泌尿器科外来でも昼間尿失禁を主訴に受診する子供が増えている。小児の膀胱機能は成長発達の要因があるため成人例と同様には治療の組み立てが出来ないし、時に尿が漏れる事に対しての子供本人の無関心があるため治療への反応がはっきりしない場合も多い。相談を受けても親と本人との間で尿失禁に対する問題意識に差があると医療者側も大変である。また子供の無関心は要注意で、小学校高学年〜中学生ぐらいではっきりしてくる軽度の精神発達遅滞や適応障害が潜んでいる可能性もある。最近はおかしいなと思う子供は小児精神科や小児心理の早期受診を勧めている。

研究・学会活動では小児泌尿器科学会総会への参加・発表は例年通りであり、さらに鈴木万里先生が腹腔鏡手術の認定医獲得へ向けトレーニングを積みながら神経因性膀胱など膀胱機能についての雑誌原稿を執筆するなど地道に実績を積んでいる。子育て中のお母さん向け雑誌に泌尿器科疾患の執筆依頼もあり対外的にもアピールできているようである。
研究項目として、ひとつは小児膀胱機能の評価として尿流量測定を基礎に検討できないか計画中である。もうひとつは近年増加をみている小児尿路結石症の疫学的検討が出来ないかどうかである。可能であれば関東〜全国レベルでの調査・検討が必要で、その発信源となれればよいと考えている。
小児関係の当日入院体制は定着した感がある。病棟スタッフには大変感謝している。特に病棟医長(ベット係り)の先生には感謝の言葉もない。多いと1日4例にもなる当日入院をやりくりしていただいている身としては術後のトラブルなく最短で退院させることが義務と考えている。
病院側の体制として小児外科系病棟の構想がでてきている。東病棟5階を腎内科が移動した後に腎臓小児科・小児外科・小児泌尿器科・眼科や耳鼻科、整形外科での小児例を受け入れる小児病棟を作ろうという案である。実現すると子供たちにとってメリットは大きいのでなんとか夢物語で終わらないよう奮闘しようと思っている。
東京女子医大の小児泌尿器科部門は小児を希望する若手の存在もあり今後も継続できるであろう。2〜3年おきの受診でいいからといっている子供たちが3年後にチャンと小児泌尿器科部門を受診できるようにしておかねばと切に感じている。
家後理枝

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