東京女子医科大学泌尿器科 腎泌尿器癌研究会 設立趣意書会則
東京女子医科大学泌尿器科 腎泌尿器癌研究会 The Society of Urological Disease at Tokyo Women's Medical University
■ 2019年度年報
ホーム1.はじめに2.医局構成・新入局員紹介3.東京女子医科大学腎センター泌尿器科および関連病院入院・外来・手術統計4.東京女子医科大学泌尿器科学教室 活動報告・2020年度の目標5.関連および協力施設 活動報告・2020年度の目標6.業績目録7.あとがき

4. 東京女子医科大学泌尿器科学教室 活動報告・2020年度の目標 >> 前立腺腫瘍センター

本年度の大きな変化として、羽田先生と準備を進めていたレチウス温存前立腺全摘を6月より導入し現時点までに25例に施行しました。これは後方アプローチを拡大して膀胱前立腺後面から両側方の神経温存層の展開、膀胱頚部離断、摘出と吻合を一貫して後方からのみ行うもので膀胱前面・側方のいわゆるレチウス腔の展開を行いません。剥離範囲が非常に限定されるため組織構造が保たれ術後早期の尿禁制が圧倒的に優れていることが報告されています。後方からの非常に狭い術野での手技が必要となり、ロボット支援手術時代特有のコンセプトの手術と言えると思います。難易度が非常に高い印象でしたが、徐々に手術時間も短縮されてきており最終的にはスタンダードな両側神経温存とさほど変わらない時間での執刀が可能となると考えています。現在、術後第4病日に尿道カテーテルを抜去していますがその時点で禁制が保たれている症例(safety pad 1枚以下)が80%、術後1ヶ月、3ヶ月でそれぞれ84%, 87%と非常に良好です。Learning curveは20例ほどと言われており、確かに最近の症例はカテーテル抜去直後からの禁制がさらに良い印象です。一方で長期的な尿禁制は変わらないと報告されていますがその質は異なる印象で、現時点での患者さんの満足度も非常に高いと感じます。本邦で継続的に施行している施設はまだ数施設と限定され、特に関東周辺では自治医大大宮医療センターと当院のみであり今後当院の特色となるべく期待しています。

全体のロボット支援前立腺全摘数は最終的に74例と目標症例数を下回りましたが、2019年後半からの症例数は増加傾向が続いております。日頃より多くのご紹介をいただいている関連各施設の先生方にはこの場をお借りして御礼申し上げます。競合施設の多い都内で特色を打ち出すべく泌尿器科webサイトでの広報活動も注力して参ります。

また、放射線治療数は体外照射 36人でその内訳として通常のIMRT 24人、有転移症例の局所照射(IMRT)9人、PSA再発に対する救済照射(IMRT) 3人でした。一方、小線源永久挿入は6人でした。最近はオリゴ(微少)転移症例に対する内分泌併用局所照射が標準治療になりつつありますが、早くからそうした症例に対する局所照射、転移巣照射に放射線腫瘍科のご理解とご協力のもと取り組んでおり、今後もそうした症例の蓄積をしていきたいと考えています。

学術面では近年進めている他施設との共同研究で着実に成果が出つつあります。本年は欧州泌尿器科学会での演題採択がされ、まず横浜市大から論文投稿の準備中です。また、池田先生の有転移未治療前立腺癌の治療予後に関する論文が本稿執筆時点でrevise中であり近日成果が報告できると思います。


今年度も以下の目標をもち精進したいと存じます。引き続きご指導ご鞭撻のほどよろしくお願い申しあげます。

2020年度活動目標

  1. 前立腺癌領域での英語論文作成
  2. ロボット支援前立腺全摘100例
  3. 後期研修医の術者育成
  4. 他施設との共同研究の推進

飯塚淳平


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