東京女子医科大学泌尿器科 腎泌尿器癌研究会 設立趣意書会則
東京女子医科大学泌尿器科 腎泌尿器癌研究会 The Society of Urological Disease at Tokyo Women's Medical University
■ 2019年度年報
ホーム1.はじめに2.医局構成・新入局員紹介3.東京女子医科大学腎センター泌尿器科および関連病院入院・外来・手術統計4.東京女子医科大学泌尿器科学教室 活動報告・2020年度の目標5.関連および協力施設 活動報告・2020年度の目標6.業績目録7.あとがき

4. 東京女子医科大学泌尿器科学教室 活動報告・2020年度の目標 >> 小児・形成泌尿器科部門

小児・形成泌尿器科 活動報告

2019年は迫田先生の突然の退職によって常勤一人となったが、ほぼ毎週末に迫田先生は鹿児島からやって来て、月曜日の手術に参加し夕方の飛行機で帰っていく状態であった(迫田先生は手術がとても好きである)。また、腎機能に関係するような疾患の場合は、腎小児科の先生方の協力を得て、腎小児科入院とさせていただいて手術行っていた。多くの先生方のご協力のお陰で大きなトラブルなく1年間診療できたと考え感謝している。

2019年は年間手術例数45例であった。主な疾患は膀胱尿管逆流症8例(開腹 7例、デフラックス注入1例)腎盂尿管移行部狭窄3例(開腹1例 鏡視下2例)停留精巣4例 尿路結石7例、尿道狭窄(後部尿道弁含む)1例 包茎・包皮癒着7例等であった。手術後長期フォローを必要とする膀胱尿管逆流症、水腎症、尿道下裂の手術については、この1年間外部からの新患の受け入れを制限していたが、腎小児科経由で紹介された新患については受け入れ、その結果昨年までの約半数の年間手術数となった。停留精巣、陰嚢水瘤や包皮環状切除術は若手が執刀できるよい機会であり、特に停留精巣の手術は手術手技の基本が網羅されているため、良いトレーニング課題と考えて若手にお願いしている。かつて停留精巣の手術は医局の上級医は全員執刀していたように思う。私が初めて膀胱尿管逆流症の手術を習ったのも小児泌尿器科医からではなかった。この20年あまり女子医大の医局は小児泌尿器科を専門とする医師がいたため、腫瘍や移植を専門とする医師が執刀する機会が失われてしまったように思う。せめて停留精巣固定術は泌尿器科医の必須手技として誰でも高いレベルの手術ができる状態にしたいと思う。膀胱尿管逆流症や腎盂形成術はできるだけ班長クラスにお願いしたいところであるが、手術日の関係でなかなか執刀してもらう機会がないのが残念である。腹腔鏡やロボットとは違う外科の職人技をもっと多くの若手に伝えていきたいと考えている。

相変わらず小児の尿路結石症例は多い。毎年シスチン尿症の症例が一定数いるが、以前に比べて小児期、思春期の怠薬や飲水不足で再発し再治療になる症例が少ないと思う。かつて治療した子供たちが、10年以上結石形成なくフォローに通院してきている。両親への啓蒙が実を結んでいるのかもしれないと思う。

小児泌尿器科部門を自分の専門分野としていきたい若手がなかなか育っていないため、今後は縮小傾向になる事が予想される。外来診療では小児泌尿器専門医を希望して予約をとる患者さんが絶えない事を考えると忸怩たる思いである。


2020年の目標

  • 小児泌尿器・形成術の手術手技の若手への継承

鈴木万里


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