東京女子医科大学泌尿器科 腎泌尿器癌研究会 設立趣意書会則
東京女子医科大学泌尿器科 腎泌尿器癌研究会 The Society of Urological Disease at Tokyo Women's Medical University
■ 2018年度年報
ホーム1.はじめに2.医局構成・新入局員紹介3.東京女子医科大学腎センター泌尿器科および関連病院入院・外来・手術統計4.東京女子医科大学泌尿器科学教室 活動報告・2019年度の目標5.関連および協力施設 活動報告・2019年度の目標6.業績目録7.あとがき

4. 東京女子医科大学泌尿器科学教室 活動報告・2019年度の目標 >> 大学院研究室

大学院研究室 2018年度の活動報告および来年度への抱負

今年度の研究活動内容は、基本的には前年度を引き継いだ内容で、泌尿器科研究室では小動物を用いた移植領域の基礎実験を行っています。当研究室の研究テーマである(1)移植免疫寛容誘導の研究 (2)腫瘍領域の基礎研究 (3)新規薬剤による腎移植治療・臓器保存に関する研究 について、活動状況を報告します。

(1)移植免疫寛容誘導の研究
REGiMMUNE社とはNKT細胞を効率的に刺激するリポゾーム製剤に関する研究を共同で行っており、2014年度には、NKT細胞の活性化を用いた免疫寛容誘導法(マウスモデル)を報告しました。本年度は、この免疫寛容誘導法のメカニズム解析を行い、このリポゾーム製剤が胸腺細胞の制御性T細胞の誘導を促すこと示した論文(Immunol Lett. 2018 Nov 29;206:41-48.)と、この免疫寛容誘導法と免疫抑制剤の併用における効果を評価した論文(Transpl Int. 2018 Dec 17.)が受理されました。さらに、臓器移植の免疫寛容誘導のみならず、膵島移植や自己免疫性疾患の治療への適応拡大の可能性についても模索しています。この第一歩として、糖尿病マウスにこの免疫寛容誘導法を用いて膵島移植を行うことで良好な治療成績が得られることを示した論文(Acta Diabetologica. impres)が受理されました。また、2017年度に受理されたT細胞移入を併用することで免疫寛容誘導法を改良した論文(Am J Transplant. 2018 Feb;18(2):328-340.)が、梅津賞を受賞しました。

今後も基礎研究のデータを構築し、最終的には日本初のヒト免疫寛容誘導による腎移植を成功させることが目標です。来年度は、より臨床応用を視野にいれた研究を行っていきたいと思います。小動物の実験では、メカニズム解析を継続するとともに、プロトコールの改良に努めます。また、臨床応用のためには小動物のみならず大動物を用いた研究が必要であり、霊長類であるコモンマーモセットの細胞を用いた予備検討を開始する予定です。

(2)腫瘍領域の基礎研究
2名は国立がん研究センター研究所で研究を行っており、1名は免疫創薬部門にて腫瘍免疫の研究を、1名はエピゲノム解析分野(牛島 俊和分野長)にて(1)ヒト膵がんおよび乳がん検体を用いたDNAメチル解析、(2)ヒト腎がん検体を用いたエピジェネティクスおよびジェネティクス解析、(3)DNAメチル化を用いた前立腺癌局所療法後の再発予測バイオマーカーの探索に関する研究を行っています。(1)の研究テーマについて、2編の論文が受理されました (Oncology. 2018;95(6):370-379. Med Oncol. 2018 Sep 14;35(11):147.)。

(3)新規薬剤による腎移植治療・臓器保存に関する研究
カン研究所とは2つの新規薬剤に関する、腎移植治療の研究と、虚血再環流障害に代表される臓器保存に関する研究を共同で行っています。来年度も、引き続き研究を継続します。


今年度は、1名の新規大学院生が研究室に配属になり、現時点で大学院生は6名在籍しています。来年度は、3名の大学院生が学位を取得し卒業となり、新規大学院生の配属はないため、大学院生3名が研究を継続します。また、引き続き、新潟大学臨床研究実施部門特任教授 時田大輔先生に当科客員教授として、公益財団法人ときわ会 常磐病院の雑賀寛先生に当科非常勤講師としてご着任いただき、研究の指導を行っていただきます。平井敏仁先生は、2016年より米国 Stanford大学にvisiting assistant professorとして赴任し、国際共同研究を継続しております。

研究費の獲得については、今年度は公的な競争的獲得資金6件(国立研究開発法人日本医療研究開発機構医療研究開発革新基盤創成事業 [CiCLE:Cyclic Innovation for Clinical Empowerment]1件、科学研究費助成事業 [学術研究助成基金助成]5件)、民間助成金4件を獲得することができました。

このように、活気付いてきた泌尿器科研究室ですが、2021年度には、現在の総合研究棟から現在建設中の新研究棟へ移設することが決定しています。今回の移動は診療科のみならず、実験動物研究所や総研や基礎系教室を含めた大規模な移動となります。その間の研究は縮小または中止せざるを得ないことや、移動先のスペースが縮小されること等、懸念事項はつきません。来年度も現在のアクティビティーを維持できるよう、敢闘します。

今年度は移植領域に加えて腫瘍領域の研究も本格化してきました。来年度も、移植免疫寛容誘導の研究、腫瘍領域の基礎研究、新規薬剤による腎移植治療・臓器保存に関する研究について、移植領域・腫瘍領域共により多くの成果を上げられるよう精一杯頑張ります。皆々様の御指導の程、宜しくお願い申し上げます。

石井瑠美


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