東京女子医科大学泌尿器科 腎泌尿器癌研究会 設立趣意書会則
東京女子医科大学泌尿器科 腎泌尿器癌研究会 The Society of Urological Disease at Tokyo Women's Medical University
■ 2013年度年報
ホーム1.はじめに2.医局構成・新入局員紹介3.東京女子医科大学腎センター泌尿器科および関連病院入院・外来・手術統計4.東京女子医科大学泌尿器科学教室 活動報告・2014年度の目標5.関連および協力施設 活動報告・2014年度の目標6.業績目録7.あとがき

4. 東京女子医科大学泌尿器科学教室 活動報告・2014年度の目標 >> 前立腺腫瘍センター

前立腺腫瘍センター 活動報告・2014年度の目標

前立腺腫瘍センター設立7年が経過しました。当センターは泌尿器科、放射線腫瘍科共同で運用されており、合同カンファレンスを毎週開催し原則全症例に関して推奨治療を検討しています。検討結果は主治医の説明内容に反映され、必要に応じ双方の専門医より詳細な説明が受けられる事を特色としています。2013年9月までに合同カンファレンスにおいて検討されたのは1761例であり、これまでの検討結果とその経過、カンファレンスの意義について今年の泌尿器科学会で報告する予定です。背景は、年齢70(32-95)歳、PSA値は8.92(0.02-12500)ng/ml、前立腺容積は30.2(4.7-180)mlで、グリソンスコア6以下が467例(27%)、7が644例(37%)、8以上が497例(28%)、再検討例および癌以外が153例(9%)でありました。D’Amicoリスク分類別では高リスク622例(35%)、中リスク551例(31%)、低リスク325例(18%)、cT3以上の局所浸潤癌14例(1%)でした。癌以外・再検討・詳細不明例が219例(12%)含まれおり、全体の42%は他院からの紹介症例でした。ここ数年は年間200〜300例の検討が行われており、現在外来班の先生がたにサマリー作成を協力頂いております。この場をお借りして関係の先生方に御礼申し上げます。

昨年度の治療総数は前立腺全摘78例(ロボット支援手術77例、腹腔鏡下手術1例)、強度変調放射線療法55例、小線源7例と組織内照射の症例数が減少傾向でした。2011年の8月に導入したロボット支援手術は既に当院でも前立腺全摘の標準術式となりました。国内導入台数が150台を超して今や米国に続く世界第二位のロボット保有国となっています。国内導入当初は米国のように症例の集約化が起きるのか、はたまたESWLやCT,MRIのように中小規模の病院でも保有施設が増えるのか先行きが不透明で有りましたが既に結論が出たように思います。今後は適応の拡大と症例の奪い合いの様相を呈する可能性が高いと思われますが、手術の為の手術であっては絶対ならないと思いますし、医学的な妥当性と患者さんの治療選択の可能性を確保する為には前立腺カンファレンスの存在意義はより高くなるのではないかと考えております。当院においては腎部分切除でも国内最大数の経験を持つにいたり、膀胱全摘への導入も倫理委員会で条件付き承認となっています。昨年度の年報にも書きましたが泌尿器科領域のmajor surgeryにおいてロボット支援手術の割合が増加していくことは避けようがなく、若手の先生にはそうしたビジョンのもと自身の研修を考えてもらいたいと思います。

本年は前立腺癌新規薬剤が2剤上梓されます。当院で臨床治験に参加した薬剤も含まれ、長く臨床使用を待ち望んでいた薬剤です。さらには機序の異なる薬剤も続々と登場が予定されており腎癌における分子標的薬と同様、至適使用方法に関しては今後、混沌とした状況が続く事が予想されます。こうした状況に国内からのエビデンス創成に関与する事ができればと考えています。

また、昨年より前立腺領域に関して後進の育成を真の目的として、若手の先生たちにも前立腺癌診療に興味をもって頂こうと様々なテーマで勉強会を企画しました。メーカー数社の協力を頂き、月1回を目処に開催して参りましたが、平日の夕方ということもあり毎回参加者が非常に少なく今後はそのあり方を見直したいと考えています。当面今年度は専門医試験前後の先生を対象とした講義形式で疫学から病理組織診断、治療法概論、新規薬といったテーマで検討しています。

最後に、対応や治療選択にお困りの症例がありましたら是非、前立腺カンファレンスをご活用頂ければと思います。

本年度も引き続き宜しくお願い申し上げます。

飯塚淳平

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