東京女子医科大学泌尿器科 腎泌尿器癌研究会 設立趣意書会則
東京女子医科大学泌尿器科 腎泌尿器癌研究会 The Society of Urological Disease at Tokyo Women's Medical University
■ 2013年度年報
ホーム1.はじめに2.医局構成・新入局員紹介3.東京女子医科大学腎センター泌尿器科および関連病院入院・外来・手術統計4.東京女子医科大学泌尿器科学教室 活動報告・2014年度の目標5.関連および協力施設 活動報告・2014年度の目標6.業績目録7.あとがき

4. 東京女子医科大学泌尿器科学教室 活動報告・2014年度の目標 >> 腫瘍部門

腫瘍部門 活動報告・2014年度の目標

2013年度は、Da Vinciによる腎部分切除が思ったよりも順調に症例数が増加していることであります。本年4月現在で62例に対して行っており、症例数では当科が最も症例数が本邦で最も多い事になります。当初は1日枠に1件で開始しましたが、腹腔鏡下手術、開腹手術とほぼ同時間で終了することを示すことができ、4月からは午前、午後で2件を予定することができるようになりました。またはじめは2週間に一度でしたが、手技的にもかなり慣れてきたため、適応基準を3cm、外方突出型の当初の基準を改訂し、4cm以上でも対象とできるように倫理委員会の書類を変更しました。その結果、毎週火曜日は午前午後で2件を現在行っております。自費の件についても、幸い当科での手術を希望し紹介されてくる方が多いため、最もよい方法である事を説明すると、ほとんどの患者さんがロボット部切を行う事で承諾されます。

その結果、昨年の当科の腎部分切除例の術式はどのようになったでしょうか?ロボット部切になった分が、腹腔鏡下腎部分切除と開腹腎部分切除を減少させているが右グラフでよくおわかりいただけると思います。現在週2例でほぼ毎週行っており、今後ほぼ3ヶ月先までその予定が詰まっていることを見ると2014年はさらにその傾向が強くなることはいうまでもありません。Stage1についてはほとんどの腎部分切除がロボットで行えるよう様になるものと思います。また2014年からは先進医療として混合医療として手術を行う事が可能となる見込みです。2年後ぐらいをめどに保険収載されるよう、私たちも先進医療の症例を登録していきたいと思います。

今後このロボット手術は膀胱全摘にも応用されることはほぼ間違いありません。2014年4月に手術教育のシンポジウムがあり、私もシンポジストとして発表してまいりましたが、系統的な開腹手術の教育はもはや不要ではないかという、一見極端とも思えるような意見すらありました。私たちも意見としても上部尿路ではIVC塞栓、他臓器浸潤を伴う腎癌あるいは後腹膜腫瘍に対する手術は多少残るものの、すべての骨盤手術と多くの上部尿路腫瘍(腎癌、腎盂尿管癌)がロボット手術に変わると考えています。開放手術のできる医者のところに難治例が送られるような図式ができあがってくると思います。今でも難治症例は癌専門病院から送られてきますので、多くの施設が定型的なリスクの低いロボット手術を行うようになると、開腹手術ができる医師は非常に重宝される時代が来るのでは無いかと思います。そういうことを考えると、当院における現在の難治例に対応する体制を維持するためには上部尿路腫瘍における難治例対応できるよう開腹手術の症例数はある程度保つべきだろうと個人的には考えております。

こうした忙しい中でも臨床研究は常にすすめていかないといけません。今年のAUAでは4題しかacceptされませんでしたが、そのうちの2題がoutstanding poster(best abstract)に選ばれました。やはりつねに疑問を持ち続けながら日々の臨床に臨む姿勢が重要であります。世の中のことですでにわかっていることは、よく調べてみると多くはありません。あの先生がこう言っていたけど本当だろうか?という疑う気持ちから調べるという姿勢になります。自分しか信用しない、というのは通常の社会では悪い意味にしか使われませんが、われわれの世界では自分で調べたことしか信用しないというのは研究者としてはあるべき姿です。皆さんも他人のいうことを丸呑みにするのではなく、疑ってかかって下さい。本当にこれでよいのか?その中から小さな種を見つけることができ、それが大きないろいろな研究に発展していきます。現在腫瘍班として基礎研究ができるような体制になっていません。臨床の忙しさが半端なく、ある程度やむを得ないところもあると思います。ただ臨床研究はとても大切で明日から診療に役立てることができます。

上述したことにもつながりますが、最近若手の先生方から学会前に、こんな事調べてみてもよいですか?とは聞かれたことはほとんどありません。何か発表するネタないですか?と聞いてくる方はまだ良いほうで、ほとんどはこちらからこんな発表してくれと頼んで、はーいという感じです。大変寂しい限りです。普段から日常臨床で疑問を持ちながら診療にあたり、本当にそれで正しいのかを検証するために教科書を読んだり、論文を見たり、それが実は違うんじゃないのか?ということになり、それなら自分たちの症例でどうなっているのか調べてみよう、ということにつながるはずです。今年は9人の若い先生方が入局されており、皆さんが常に疑問を持ちながら新しい疑問にぶつかりそれを解決していって、さらに医局としてのパワーアップにつなげてくれることを期待しております。

それには体力も必要です。今年は東京マラソンに10万円払って出ました。いいです。来年も是非出たいと思っています。私はチーム名「ウロロジー」とエントリーしていますので、今年はメンバーができるといいなと思っています。是非一緒に走りましょう。

近藤恒徳

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