東京女子医科大学泌尿器科 腎泌尿器癌研究会 設立趣意書会則
東京女子医科大学泌尿器科 腎泌尿器癌研究会 The Society of Urological Disease at Tokyo Women's Medical University
■ 2011年度年報
ホーム1.はじめに2.医局構成・新入局員紹介3.東京女子医科大学腎センター泌尿器科および関連病院入院・外来・手術統計4.東京女子医科大学泌尿器科学教室 活動報告・2012年度の目標5.関連および協力施設 活動報告・2012年度の目標6.業績目録7.あとがき

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小児・形成泌尿器科 活動報告・2012年度の目標

2011年は3月の大地震から始まり8月の台風と自然の大きさに圧倒された年であった。人の力は偉大ではあるが自然の前には小さな力だと改めて痛感した。3月の被害は地震・津波よりも原子力発電所の崩壊の方が影響は大きかったと思われる。放射能被害については子どもの将来など心配になることも多いと思うが、転倒や腹部打撲で元気に救急車に乗って来院しCT検査を希望することを考えるとどう対処すればよいのかと思わざるをえない。

2011年は年間手術例数99例であった。疾患別では膀胱尿管逆流症28例(開腹 20例、デフラックス注入8例)腎盂尿管移行部狭窄14例(開腹9例 鏡視下5例)停留精巣13例 尿路結石7例(ESWL1例 TUL6例)尿道狭窄(後部尿道弁含む)8例 包茎・包皮癒着6例等であった。あと尿管狭窄や断裂などの状況で尿管膀胱新吻合術を行った症例が7例あったのが印象に残った。年間手術総数はマンパワーや手術日などの関係からここ数年横ばい状態である。入院病棟は東5階の小児外科系病棟が機能的に運営されていて術後の管理はもとより、こどもとその家族の精神的なサポートもしっかりなされており頼もしい限りである。最近は病棟看護師と病棟医との親睦会も行われているようである。

若手の育成としては練生から後期研修医にはソケイ部の手術を中心に 班長クラスでは腎盂形成術や逆流防止術を中心にお願いしている。ほぼ全員が拡大鏡を持っているため形成術の手技はやりやすくなったと思う。形成の手術は細かな縫合が大事であり扱う組織も繊細なため、手で確実に糸結びができる事は最低条件として必要である。針付きの糸を指抜きではなく普通に遅滞なく結べる事が術者の条件である。

大学病院の特徴として先天性尿路疾患の成人例がある。腎盂尿管移行部狭窄症例に対しての鏡視下腎盂形成術は症例数も10例を超えようとしている。術後1年目の評価が終わった方も出てきているが術後全例でトラブルなく腹痛発作はなくなって患側腎機能も温存されている。成人の膀胱尿管逆流症はデフラックス注入による内視鏡治療が第一選択になりつつあり、治療効果も期待できると考える。

大学では小児の尿路結石症例が今後も増えそうな気配があり可能ならば結石破砕用のレーザーと5.3Frの軟性尿管鏡が欲しいところではある。成人の結石症例も片腎であるなどリスクの高い症例は大学で破砕することになった点から機械購入は必須だと思われる。

最後に毎回の事ではあるが泣き叫ぶこども達をなだめすかして身長・体重を測定し点滴確保に付き合ってくれる外来・病棟のスタッフに感謝し来年度も確実な手術・検査を行うように精進することを目標にしようと思う。

家後 理枝

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