東京女子医科大学泌尿器科 腎泌尿器癌研究会 設立趣意書会則
東京女子医科大学泌尿器科 腎泌尿器癌研究会 The Society of Urological Disease at Tokyo Women's Medical University
■ 2011年度年報
ホーム1.はじめに2.医局構成・新入局員紹介3.東京女子医科大学腎センター泌尿器科および関連病院入院・外来・手術統計4.東京女子医科大学泌尿器科学教室 活動報告・2012年度の目標5.関連および協力施設 活動報告・2012年度の目標6.業績目録7.あとがき

4. 東京女子医科大学泌尿器科学教室 活動報告・2012年度の目標 >> 腫瘍部門

腫瘍部門 活動報告・2012年度の目標

2011年度は,腎癌手術症例が210例とついに200例を越えました。週刊朝日の手術ランキングを見ると、2位の東京医科歯科大学が95例ですので、その倍以上の差を付けていることになります。これだけの症例数をこなすためには、外来、病棟の先生方、メディカルスタッフの方々の協力があってこそであり、皆様方の努力に感謝申し上げます。また今年度から、前田講師、橋本講師のご尽力により青山病院にてTURBT、TURP、TULの手術を行うようになりました。そのため本院での手術枠をより悪性腫瘍患者に使えるようになったことも大きな要因と考えております。田邉教授就任時の目標の1つとして、腎癌手術症例200例をあげておられましたので、5年目で達成できたことになります。数だけであれば次の目標は250例になりますでしょうか。ただこれには手術枠の増加が不可欠となりますので、容易ではないかもしれません。ただ当科で手術を希望される患者さんはとても多く、現在手術の待ち時間は2ヶ月以上となっております。なんとか緊急性の高い症例は夕方開始などで、待ち時間なく手術ができるような体制ができると良いのではないかと思います。今回JUA-AUA交換プログラムできたSouthwick先生は、ユタ大学では、このような症例に対しては、手術室の看護師が完全に2交代制で対応しているため全く問題無くできるとのことでした。欧米並みの対応をしていかない日本の患者は大変不幸になると思います。

また手術をこれだけ多くこなせるようになってきた背景には、麻酔科や手術室からの手術時間短縮の要求に合わせて、余分な手技を減らしできるだけ手術を時間を短くするように各先生方が努力していただいた結果であると思います。この場を借りてお礼申し上げます。ただ若い術者の先生達に一挙手一投足教えながらゆっくり時間を取って指導することはもはやかないません。どうしても前立ちの我々からどんどん手を出して、どんどん手術を進めていかないといけません。ただ昔と違って手術のビデオもありますし、そういったものをあらかじめ見ておくことが今の時代は可能です。どの場面でどのような器械をもちいてどのような操作を行って剥離をするのか、毎回いちいち言わないと動かないようでは、これはすでに準備段階で失格です。今後研修医の数が多くなると、準備不足の術者はその資格を失い次の術者に替わるとうことになります。したがって全員を平等に同じレベルになるまで懇切丁寧に指導する事は難しくなります。独立した術者になりたければ、それなりの準備をしておくのは当然の事になります。これからは班長だから自動的に術者になるという時代ではなくなりますので、手術の勉強をしっかり行って下さい。

鏡視下手術のトレーニングでは、年々審査員の基準も年々上がってきて、合格率も下がってきております。53%の合格率という過去最低の数値になっています。腎癌手術は今後腎部分切除が増加するため、鏡視下腎摘除の対象となる患者は減少していきます。当科は透析腎癌症例がまだ多施設に比べると数多く有ります。そうした症例を、一つ一つ無駄にせず対象となる先生方はがんばって下さい。合格者やスタッフのビデオをよくみるという準備が何よりにも勝るものであると思います。

昨年の年次報告で、論文書かないと様々なことを総合的に判断できる医者にはなれないと書きました。論文を書くと言うことはやはりいろいろなエビデンスや報告を読むことになり、勉強します。それは全体に臨床の場でいろいろなdecision makingをおこなうことに自分の判断をサポートしてくれます。今回某旧帝大の教授とお話した時に、地方会に出した演題が大学は60%ぐらいが論文化されていが、ここの関連病院は30%、あそこにいたっては10%以下だと、話していました。今年は高木先生ががんばっていろいろな発表を論文化してくれており、腫瘍の分野でも英文論文が総説も入れて昨年は6編になりました。今年はもっといろいろな先生方が論文を書いてくれるよう期待しております。昨年も書きましたが、以前私が長岡に出張中に新潟大学の先生に言われたのは、自分の学年+1の数の論文(症例報告)を書くのが最低限の目標であるといわれ、これまでもそれを下回らないようにしてきました。少なくとも年に1編は書く意識でいて下さい。医局員の数が多くなると、自分をアピールする事が大事になります。学会発表ははっきり言って誰でもできますのでアピールにも何にもなりません。論文にして発表すれば大きなアピールになり、先に鏡視下手術のトレーニングをさせてあげようか、などのスタッフの判断につながる可能性が高くなります。私自身もがんばりますので、皆さんもがんばって下さい。

近藤 恒徳

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