東京女子医科大学泌尿器科 腎泌尿器癌研究会 設立趣意書会則
東京女子医科大学泌尿器科 腎泌尿器癌研究会 The Society of Urological Disease at Tokyo Women's Medical University
■ 2007年度年報
ホーム1.はじめに2.医局構成・新入局員紹介3.東京女子医科大学腎センター泌尿器科および関連病院入院・外来・手術統計4.東京女子医科大学泌尿器科学教室 活動報告・2008年度の目標5.関連および協力施設 活動報告・2008年度の目標6.業績目録7.あとがき

5. 関連および協力施設 活動報告・2008年度の目標 >> 東京女子医科大学東医療センター泌尿器科

東京女子医科大学東医療センター泌尿器科 活動報告

東医療センター泌尿器科における2007年度の活動を報告する。例年通り4月と10月に人事異動があり、4月に前田が附属青山病院,鈴木裕が戸田中央病院,吉田が大学本院に移動となり,代わりに津嶋,澤田が配転してきた。1名減のスタッフでぎりぎりの診療体制であったが,OBの小林裕,前田が手術手伝いなど協力してくれたためなんとか活動性を落とさず診療を維持できた。10月に角山,剣木(澤田と交代)が配転となり,本来の6人体制に戻り診療が行われた。

2007年度のも最も大きな出来事は,8月に東医療センター泌尿器科発祥の地ともいうべき田端駅前クリニックの閉鎖と10月から新しく日暮里クリニックが開院されたことである。田端駅前クリニックの閉鎖に伴い,東医療センターの透析部門が血液浄化部に統一され,中澤が副部長に就任した。9月からは腎臓内科と共同で血液浄化部の診療を行うことになった。また,日暮里クリニックは東医療センターの外来部門として10月に開院した。電子カルテが導入され,全予約制のためまだ十分な数の診療が行われていないが,JR日暮里駅1分の地の利があり,今後の発展が期待される。

診療活動の場が広がったことは歓ぶべきことであるが,そのためスタッフの負担が増加したことは,医療の質と安全性を維持し在籍スタッフの負担を軽減できる診療体制を創るという課題を先送りした結果となり遺憾である。

診療実績
外来部門:外来患者数は東医療センターで新患;2000名,1日平均60名前後,田端・日暮里クリニック(週3-4日診療)で新患:300名,1日平均10〜15名であった。東医療センターでは新患数はほぼ前年並みであり,再来患者数はやや減少した(負担軽減のため意識的に減らしているため)。日暮里クリニックにおける診療はまだ十分軌道に乗っているとは言い難いが,紹介新患数は確実に増加しており今後が期待される。
血液浄化室は25床で月水金が2部,火木土が1部の体制で行われており,そのほかCAPD外来が併設されている。泌尿器科は主に2部の患者(12名が田端駅前クリニックから移動)を主治医として担当している。
入院統計:入院ベッドは17床であるが,看護師不足によるベッド調整のため実質12-15床で治療が行われている。入院患者数は533名、平均在院日数9日,ベッド稼働率78.6%であった。入院患者の75%が手術治療目的であったが,抗がん剤治療例が増加しているのが本年の特徴であった。
手術統計:手術室における総手術件数は427件(全麻:135件,脊椎麻酔:181件,局所麻酔:103件)であり、前年とほぼ同等であった。外来手術は36件,入院手術は391件であり,外来小手術が減少している。今回,透視室で行われたTUL,経皮的腎ろう造設については資料が不正確なため統計から除外したが,約20件程度であった。
腹腔鏡手術は53件(12.4%;LRN 28, LPN 6, LNU 20, ほか)、経尿道的内視鏡手術は152件(35.6%;TUR-Bt 69, TUR-P 37, TUL 18, ほか)と泌尿器内視鏡手術はいずれも増加し,充実していた。
主な手術は、腫瘍関連:178件(前年比:10件増)、女性泌尿器科関連:111例(前年比件17件増)が増加し,前立腺肥大・尿道狭窄(49件)は例年同様,シャント関連手術(39件)、尿路結石関連(7件)が減少した。本年も腫瘍関連と女性泌尿器科の手術の多いことが当センターの特徴である。
腫瘍関連手術は,副腎腫瘍2例,腎腫瘍53例,腎盂尿管腫瘍25例,膀胱腫瘍78例,前立腺癌12例,精巣腫瘍2例、陰茎腫瘍2例,後腹膜腫瘍1例などに行われた。おもな術式は根治的腎摘除術41例(ラパロ28例),腎温存13例(ラパロ6例),腎尿管全摘23例(ラパロ20例),TULA 2例,膀胱全摘除6例(回腸導管3,回腸膀胱2,尿管皮膚瘻1),膀胱部切4例,TUR68例,であった。
女性泌尿器科関連では,TVT/TOT手術63例,膀胱瘤・直腸瘤27例,間質性膀胱炎20例と,膀胱瘤に対するメッシュを用いた手術が増加した。

研究活動
前年に引き続いて、女性の排尿障害(過活動膀胱、間質性膀胱炎,腹圧性尿失禁)の治療,腎尿路腫瘍の治療,をテーマにした臨床研究が行われた。日常臨床が忙しく十分な時間を費やすことができない状態は相変わらずであるが、豊富な症例を背景に新しい手技や治療法が導入されており、腹圧性尿失禁に対するTOT手術や腎腫瘍に対する腹腔鏡下腎部分切除術は高い評価を得ている。
2007年に行われた学会・研究会における発表は、講演,シンポジウム・ワークショップ等を含め計42題であった。論文発表は10編であり,ほかメディアを通した多数の啓蒙的発表が行われた。研究テーマは女性の排尿障害(過活動膀胱,間質性膀胱炎,尿失禁の手術治療,ほか),腎癌に対する治療,腹腔鏡手術,表在性膀胱癌に対する治療,症例報告であった。

教育関係
大学附属病院として学生教育,卒後研修教育に貢献した。学生教育としては医学部B2,B6、東医療センター附属看護学校の講義を分担して行い、臨床実習に対応できるカリキュラムの作成を行った。卒後研修教育は全体のオリエンテーションを行うとともに,当番時に指導医として教育指導を行った。泌尿器科は必修科目ではないため常時研修医が在籍するわけではないが,カリキュラムを作成し対応した。本年は泌尿器科選択は1名であった。
中澤 速和

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東京女子医科大学東医療センター泌尿器科 2008年度の目標

東京女子医科大学東医療センター泌尿器科は荒川,足立の2区を中心とした城東地区の拠点病院として地域医療を担っている。2007年10月に日暮里クリニックが開院し,新たな地域の患者層が来院する機会が増加している。そのような利点を生かし,いっそう地域医療に貢献することが重要である。また以前からの課題である大学病院の医療センターとして専門性の高い医療の提供にむけて,大学関連病院としての十分なスタッフと設備が整っているとはいえず,引き続き努力が必要である。現在の活動力を最大限ひきだし,与えられた資材で診療、研究ともに充実させるための課題は多い。
具体的な目標は2007年とほぼ同様であるが,専門外来の充実にはとくに力をいれたいと考えている。今まで同様,泌尿器腫瘍,女性泌尿器科,のほか腎不全外科,小児泌尿器科,男性機能外来,などを検討している。

(1)安定したスタッフによる専門性の高い診療体制と設備の充実
患者が増加し、年々、手術症例も豊富になっている。大学病院としての専門性を強調できる診療体制を構築することが念願である。2008年度の事業計画においても専門外来へのステップとしてまずは女性泌尿器科学、泌尿器腫瘍学、泌尿器内視鏡学、をより充実させるための予算を組んでいる。そのためには必要なUrodynamic Study検査機器、軟性尿管鏡の購入、レーザー機器のリースなどを検討する。

(2)検査、診療の合理化
現在、少ないスタッフで綱渡り的な診療を行っている。急なスタッフの増員が見込めない中では、外来処置、検査を見直し、安定した手術時間を確保するための工夫を行う。そのため,外来検査や透視室を使用する検査・処置の件数がやや減少している。これらのperformanceも低下させないよう工夫する。

(3)血液浄化室の運営参加
田端駅前クリニックが閉鎖され,現在,東医療センター血液浄化室を腎臓内科と共同運営している。腎臓内科と密に連携して運営を行うとともに,腎不全外科関連の合併症に対応できる体制を構築する予定である。

(4)研究面の充実
泌尿器科腫瘍学,女性泌尿器科学を中心に学会発表レベルの研究が蓄積されており、今後、東医療センター独自の論文発表を積極的に行っていきたい。また、臨床研究に必要な器材とシステムの整備を行うことが必要であり、その時間的余裕の確保が急務である。

今後も現在の活動性を維持し,臨床研究を中心に積極的な活動を行う予定である。
中澤 速和

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