女性の排尿障害に対する社会の関心は高まる一方である。これをうけて、女性排尿障害センターでもわざわざ予約をとってきていただく患者さんが増えつつある。昨年は女性排尿障害センターとして予約を取って受診された患者さんが、予約外で初診でこられた方は入れずに月平均約9人(家後、小内あわせて)だった。受診のきっかけとしては家族がホームページ(平成19年1月からアップ)でみて、他科からの紹介、受診相談窓口からのすすめでなどが多かった。実際にきた患者さんからは、「こういう外来をさがしていたんです」や、「(受診の日を)待った甲斐がありました」などとうれしい言葉をいただくこともしばしばである。1年間で行った手術は腹圧性尿失禁に対するTVTスリング手術7件、膀胱脱に対する膣前壁補強術5件、間質性膀胱炎に対する水圧拡張術6件であった。その他、成人の膀胱内圧検査を検査者を固定して月平均5例程度行っている。(小児、移植を含まず)
他施設との連携としては、メッシュによる性器脱手術や腹圧性尿失禁に対するTOT手術は東医療センターの巴ひかる先生にお願いしている。また、余丁町クリニックの瀬戸口志保先生には骨盤底筋体操のトレーナーを用いた、骨盤底筋体操訓練をお願いしている。院内でも病棟の川井看護師がWOC(Wound Ostomy Continence)看護の講習を受けており、ストーマケアはもちろんのこと、積極的に排尿ケアにも関わろうと取り組んでくれている。
2008年度は研修医の先生を中心として、教育体制を充実させて基礎的な知識をしっかり身に付けていただけるよう、努力してゆきたい。膀胱内圧測定検査も現在の隔週から毎週に増やし、現在は行えていない、透視下でのプレッシャーフロースタディも始めてゆきたい。また、巴先生が会長をつとめておられる、女性泌尿器科医の会の会員を増やしていくべく、学生さんへのアプローチを積極的におこなってゆきたい。我々が仕事に魅力を感じ、生き生きと働いている姿勢をみせることが、なによりも学生さんへの働きかけになるのではないかとは思っている。
夢のまた夢ではあるが、女子医大の排尿機能班(勝手にそう呼んでいる)が移植や腫瘍と並ぶ第三の柱になる日のために、一歩一歩進んでゆく所存である。皆様方のご声援をお願い申し上げます。 |