東京女子医科大学泌尿器科 腎泌尿器癌研究会 設立趣意書会則
東京女子医科大学泌尿器科 腎泌尿器癌研究会 The Society of Urological Disease at Tokyo Women's Medical University
■ 2007年度年報
ホーム1.はじめに2.医局構成・新入局員紹介3.東京女子医科大学腎センター泌尿器科および関連病院入院・外来・手術統計4.東京女子医科大学泌尿器科学教室 活動報告・2008年度の目標5.関連および協力施設 活動報告・2008年度の目標6.業績目録7.あとがき

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下部尿路Endourology領域 活動報告・2008年度の目標

今年度の下部尿路Endourology領域の研究テーマは、1)前立腺肥大症に対する(低襲侵手術としての)エタノール注入療法、2)エタノール注入療法後のDay surgery TUR-P (TUR-Pnt:TUR of the prostatic necrotic tissue)、3)前立腺癌に対するChemoablation(エタノールおよび抗癌剤の直接注入)、4)エタノ−ル注入療法併用TURP、であった。前立腺癌に対するChemoablationの基礎的研究として行った Effect of Direct Injection of Dehydrated Ethanol on PC3 Human Prostate Cancer Cells in Nude Mice: Preliminary Studyが International Journal of Urologyに掲載された。(Goya N, Koga S, Tomizawa Y, Onitsuka S; Yamaguchi Y, Toma H : IJU Int., 14(8),760-763, 2007)。これにより、局所浸潤性前立腺癌の排尿障害に対するエタノール注入療法の基礎的裏付けが得られた意義は大きいと考えている。

TURP時の出血を減少される目的で2006年9月より臨床研究を開始した「エタノ−ル注入療法併用TURP」のデータがまとまり、第72回日本泌尿器科学会東部総会で発表した。(合谷信行・清水朋一・冨田英里・白川浩希・小林博人・尾本和也・橋本恭伸・近藤恒徳・田辺一成:エタノ−ル注入併用TURPの経験。抄録集p279(8月2007、札幌)。
本法は、通常のTURPに比較して手術中の出血を減少させることにより良好な視野での手術が可能なこと、TUR反応のリスクが少なく安全にTURPを施行できることが確認された。今後普及する可能性は大きく、来年度も積極的に臨床研究を重ねてゆく所存である。2008年度も目標とする研究テーマは同様であり、1例毎の症例を大切にしながら臨床経験を積み重ね、意義ある結果が出るように努力する所存である。

また徐放性抗アンドロゲン剤の基礎的検討である、Local injection of sustained-release antiandrogen formulation into a target prostatic site: an experimental study. JU,177(Suppl),515, 2007.( Goya N, Gotanda K, Tomizawa Y, Toma H)がAUAにアクセプトされ発表した(AUA Annual Meeting,Anaheim CA,May 22, 2007)。

臨床症例であるが、前立腺エタノール注入療法(EIP)は、前立腺肥大症に対して4件(合計で119例)が施行された。下部尿路Endourology領域の2007年の手術件数であるが、前立腺肥大症 46例(膀胱頸部硬化症4例を含む)に対し、TUR-Pを 42件(TUI併用例を含む)、EIPを 4件行った。その他にTURPを施行した3例で前立腺癌の病理診断が得られた。膀胱腫瘍に対しては 130件のTUR-Bt(生検を含む)が施行されたが、悪性腫瘍と診断されたのは113件であり、残り17件は良性であった。TUR-Btの件数は昨年(122件)とほぼ同様であったが、今年度は生検にて良性と診断された症例がやや多かった。その他の下部尿路内視鏡手術としては、尿道狭窄に対して内尿道切開術が2例に、膀胱結石に対し内視鏡的結石除去術が3例に行われた。

臨床研究として、膀胱腫瘍の再発予防を目的に「中等度リスク表在性膀胱癌に対するBCG(イムシスト)膀胱内投与の検討」(担当:近藤恒徳先生)の臨床研究が進行中である。また前立腺肥大症に対する薬物治療として、シドロシン(ユリーフ)とコハク酸ソリフェナシン(ベシケア)を使用する「排尿障害に対するα遮断薬単独投与と併用療法の有用性比較試験」(担当:清水朋一先生)がスタートしたところである。
合谷信行・小林裕

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