東京女子医科大学泌尿器科 腎泌尿器癌研究会 設立趣意書会則
東京女子医科大学泌尿器科 腎泌尿器癌研究会 The Society of Urological Disease at Tokyo Women's Medical University
■ 2017年度年報
ホーム1.はじめに2.医局構成・新入局員紹介3.東京女子医科大学腎センター泌尿器科および関連病院入院・外来・手術統計4.東京女子医科大学泌尿器科学教室 活動報告・2018年度の目標5.関連および協力施設 活動報告・2018年度の目標6.業績目録7.あとがき

4. 東京女子医科大学泌尿器科学教室 活動報告・2018年度の目標 >> 腎移植・腎血管外科グループ

本邦に於ける提供臓器数の低迷は日本人の宗教観、倫理観や移植体制の不備など複要因的な問題として片づけられてきた。私はそんな難解な問題ではないと思う。

日本移植学会の会員数が減少を続けることからわかるように、移植医が移植医療から離れていくことが日本の移植医療の低迷に直結しているに他ならないのだ。

厚生労働省もそれに気づいてか、まずは提供施設の施設基準の見直しを昨年おこなった。これはドナーサイドの負担軽減を考慮したものである。①法的脳死判定前の診断に係る取扱いの変更-法的脳死判定前の診断において-これまで法的脳死判定に準じた厳格な検査方法を行っていたが、各施設が通常行っている検査方法で判断してもよいこととした。②脳死判定医の自施設2名要件の緩和-法的脳死判定医2名のうち、1名は他施設からの支援でも可能とした。③レシピエント候補者の意思確認の早期化-2回法的脳死判定終了後に行われていたレシピエント候補者への意思確認を、第一回法的脳死判定終了後に行えるようにした。④5類型施設間の搬送に係る取扱いの変更-2つの5類型施設が、同一建物や渡り廊下で繋がっているなどドナーを安全に移動させることができる場合のみ、法的脳死判定後のドナー搬送を可能とした。⑤各5類型施設からの臓器提供後の提出資料などの取り扱いの変更-脳死下臓器提供事例の検証において過去5年以内に適切な脳死下臓器提供を行ったことがある場合などについては提出すべき資料の範囲を限定する、などである。

臓器の摘出医や移植医の負担軽減も同時に考えていかなければならないと提言したい。できるだけ摘出医の負担軽減を行うためにはできるだけ摘出方法を簡素化していかなければならない。①摘出器具の簡易化-昔に比べればかなり摘出器具の共用は認識されてきたがさらなるスリム化を考慮する、②複数臓器摘出時における摘出医の集合時間の配慮-現在、摘出医は夜中の集合から摘出時まで長い時には5~6時間の待機を余儀なくされている。スムーズな相互連絡で待機時間のセーブを配慮する、③オールジャパン摘出チームの結成-脳死移植が脳死法案のもと少ないながらも行われ続けて5年経過してきた。オールジャパン臓器摘出チームの結成は移植医の少ない施設における移植医の負担軽減につながる、④移植後レシピエント管理の集中治療科への委託-できるだけ移植後の管理を集中治療科に委託することによって長時間の移植手術で消耗した移植医の体力的救済が可能になると考える。

昨年11月1日に移植管理科を拝命した。ぜひ臓器提供施設や摘出医の負担軽減ならびに移植医自身の負担軽減を行い、多くの医師に移植がいかに魅力的な分野の医療であるか、理解いただきたい。日本の移植医療がこれ以上手遅れにならないように!!

2018年10月には田邉先生の日本移植学会がホテルオークラで行われます。皆様、よろしくお願いいたします。

石田英樹


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