東京女子医科大学泌尿器科 腎泌尿器癌研究会 設立趣意書会則
東京女子医科大学泌尿器科 腎泌尿器癌研究会 The Society of Urological Disease at Tokyo Women's Medical University
■ 2017年度年報
ホーム1.はじめに2.医局構成・新入局員紹介3.東京女子医科大学腎センター泌尿器科および関連病院入院・外来・手術統計4.東京女子医科大学泌尿器科学教室 活動報告・2018年度の目標5.関連および協力施設 活動報告・2018年度の目標6.業績目録7.あとがき

4. 東京女子医科大学泌尿器科学教室 活動報告・2018年度の目標 >> 大学院研究室

2017年4月より基礎研究の管理統括に当たらせていただいております。
今年度の研究活動内容は、基本的には前年度を引き継いだ内容となっており、小動物(マウス、ラット)を用いた移植領域の基礎実験を行っています。

カン研究所とは2つの新規薬剤に関する共同件研究契約を締結しています。詳細は特許の関係で記載できませんが、腎移植の治療に大きく貢献できる可能性がある治療法です。その成果が評価され、カン研究所では国立研究開発法人日本医療研究開発機構(Japan Agency for Medical Research and Development; AMED)の研究資金を獲得しました。泌尿器科研究室でも、引き続き基礎研究の一部を担っていきます。

理化学研究所ワクチンデザイン研究チーム REGiMMUNE社とはNKT細胞を刺激する特殊なリポゾームに関する共同件研究契約を締結しています。2014年度に、このNKT細胞の活性化を用いた免疫寛容を誘導するマウスモデルを報告しましたが、引き続き一定の成果を出すことがでました。本年度は、この報告をもとに免疫寛容誘導のメカニズムについて基礎的検討を行った論文がEuropean Journal of Immunologyに、T細胞移入を併用することで免疫寛容誘導法を改良した論文がAmerican Journal of Transplantationに受理されました。今後も、免疫寛容誘導法の改良とそのメカニズムの解析を進めます。さらに、臓器移植の免疫寛容誘導のみならず、膵島移植や自己免疫性疾患の治療への適応拡大の可能性についても模索していきます。世界的にみても、ヒトで免疫寛容誘導による腎移植を行った施設は数施設のみに留まり、長期に経過観察する過程で様々な問題が出てきております。より有用なプロトコールを開発することで、将来的に当科で臨床応用できればと思います。そのための第一歩として、来年度以降は小動物のみならず、大動物の免疫寛容誘導法の開発も視野にいれた研究を行っていきたいと思います。また、REGiMMUNE社とは新たな研究契約を締結し、多数の研究機器を理化学研究所から泌尿器科研究室へ移設し、2名の共同研究者の先生方にもおこしいただくことになりました。2015年度の旧巴寮から総合研究棟3階への研究室移設と合わせ、よりレベルの高い研究を行える環境が整いました。しかし、ようやく落ち着いて研究を行えるのもつかの間で、2021年度には、現在の総合研究棟から現在建設中の新研究棟へ移設することが決定し、本年度からその準備が始まりまりました。

本年度は、3名の新規大学院生が研究室に配属になりました。現時点で大学院生は7名在籍しており、1名は外部への研究機関に赴いて腫瘍関連の研究を行っております。また、理化学研究所の石井保之先生(現 REGiMMUNE社 代表取締役会長)、カン研究所の時田大輔先生(現 新潟大学 臨床研究実施部門 特任教授)、常磐病院の雑賀寛先生に当科非常勤講師としてご着任いただき、研究の指導を行っていただきました。平井敏仁先生は引き続き米国 Stanford大学にvisiting assistant professorとして赴任し、国際共同研究を継続しております。

大学院生の指導体制としては、研究室内でのリサーチミーティングを週2回、大学院カンファレンスを週1回、抄読会を週1回、各研究テーマ毎に分かれて行う研究カンファレンスを3ヶ月毎程度の頻度で行っています。テレフォン・カンファレンスを導入したこともあり、より迅速に情報共有を行えるようになりました。

研究費の獲得については、今年度は文科省科研費3件、財団の競争的獲得資金3件を獲得、共同研究契約を締結したカン研究所とREGiMMUNE社より研究費の助成を得ることができました。さらに、研究所内の物品の購入方法や試薬の調整方法を抜本的に見直したことにより、コストダウンに成功しました。今後も研究費獲得のために積極的に研究費の申請を行い、更なる研究の向上につなげたいと思います。

まだまだ道は険しいですが、今後も実臨床へつながるような基礎研究を行い、成果を構築していきたいと思います。研究は、困難の連続ではありますが、未開領域から初めて自分が発見した!という、喜びと感動を体験できます。現在は基礎研究と関わりのない先生方にも興味を持っていただけたら嬉しいです。今後も、基礎・臨床共により良い成果を残せるような研究室作りを目指したいと思います。

皆々様の御指導の程、宜しくお願い申し上げます。

石井瑠美


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