東京女子医科大学泌尿器科 腎泌尿器癌研究会 設立趣意書会則
東京女子医科大学泌尿器科 腎泌尿器癌研究会 The Society of Urological Disease at Tokyo Women's Medical University
■ 2016年度年報
ホーム1.はじめに2.医局構成・新入局員紹介3.東京女子医科大学腎センター泌尿器科および関連病院入院・外来・手術統計4.東京女子医科大学泌尿器科学教室 活動報告・2017年度の目標5.関連および協力施設 活動報告・2017年度の目標6.業績目録7.あとがき

5. 関連および協力施設 活動報告・2017年度の目標 >> 東京女子医科大学東医療センター

2016年 東医療センター泌尿器科活動報告

東医療センターは東京都区東北部の地域の拠点病院として、開院以来80年にわたり荒川区、足立区の地域医療に貢献してきた。しかしながら、立地環境などから施設の拡大・発展がままならず、設備も老朽化しここ数年は耐震補強や電子カルテ導入などインフラ整備に注力してきた。2016年はDPC導入、地域連携拠点病院、地域がん診療病院の指定により地域の中核病院としての体裁がようやくと整ってきた。長年の懸案である新病院建設がようやく視野にはいり、足立区江北地区へ移転が具体化してきたことは東医療センター全体にとって良報であった。いっぽう、この数年の慢性的な経営赤字により附属日暮里クリニックの診療が縮小され、2016年末には2017年3月での閉院が決まった。前身の田端駅前クリニックは東医療センター泌尿器科発祥の地であり、日暮里に移ってからも少ないスタッフの中から診療を維持してきただけに残念である。

2016年は東医療センター全体にとって厳しい1年であった。2015年の電子カルテ導入と完全予約制導入、地域連携拠点病院として患者逆紹介の奨励、スタッフ不足による救急医療の制限、等により全体に患者数が減少し、2016年前半は泌尿器科も新患数の減少、手術件数の減少など影響を受けたが、後半にはようやく改善傾向を示してきた。

東医療センター泌尿器科の診療は前年同様、骨盤底機能再建診療部と併せて6名で行われた。しかしながら、長年診療の中核として活躍してくれた伊藤講師が9月末で退職し、中澤も部長交替、年内退職の予定であったため診療が縮小したことは残念であった。手術件数は330件と例年よりやや件数が減少した。当科における主要分野の一つである腎尿路腫瘍において、腎癌、腎盂尿管癌の減少が大きく、腎癌34例、腎盂尿管癌7例はこの10年で最も少ない症例数であった。そのほか、副腎腫瘍、膀胱癌、前立腺癌はほぼ例年通りであった。もう一つの主要領域である女性泌尿器科関連の手術は骨盤底機能再建診療部の巴教授が新たに腹腔鏡下仙骨膣固定術(LSC)を導入し、膀胱瘤手術が増加し、TOT/TVTも含め例年通り行われた。腹腔鏡手術も60例と減少したが、LSCが毎月定期的に施行され、腹腔鏡手術の適応を拡大した。もともと少ないスタッフで血液浄化部も兼務し過重負担であったが、そうした環境の中、大きな事故なく例年通りの診療が行われたことは幸甚であった。

2017年の東医療センターの泌尿器科であるが、1月には本院の近藤准教授が教授に昇格し、泌尿器科部長として着任予定であり、daVinci surgical sysytem が導入され、4月には新しいスタッフが加わり、新しい体制による新しい時代が始まり、更なる発展が期待される。

中澤速和


東医療センター 2017年度目標

東医療センターに赴任し、はや3ヶ月が経過いたしました。中澤速和先生がご勇退されたあと、部長として泌尿器科を主催させていただくことになり、大変身が引き締まる思いです。

2017年度の目標は、1)3月よりスタートしたDaVinci手術を軌道に乗せることによる手術総件数の全体的な増加、2)腎移植の開始、3)教育の充実の3つであります。ロボット手術は3月7日に1例目の前立腺全摘、14日に腎部分切除を開始し、現時点では毎週予定が入っております。前立腺全摘は3,4月で合計6例を行う予定となっており、これによってロボット前立腺認定施設となり5月からは保険償還が可能となります。安定してきたところで、前立腺全摘については研修医にも少しずつ手術の機会を与えロボット手術の教育についても取り組みたいと思います。3月には人工心肺を用いた右房塞栓症例についても心臓血管外科と協力し循環停止で無事に手術を行う事ができており、今後こうした進行例に対する手術も紹介により症例数が増えるものと思います。

腎移植については、荒川、北、足立区の拠点病院として移植治療についても開始していきたいと考えております。腎内科の協力も得られており、あとは病棟における体制を整えれば手術開始とできると思います。本院の移植チームの先生方の協力を全面的に仰ぐ必要がありますが、特色のある医療スタイルの確立に向けて進んでいきたいと思います。

教育については大学病院としての大きなテーマであります。研修医でも外来の機会を定期的に作ることで、診察、判断などについて考える機会を作りたいと思います。その上でカンファレンスによりその治療方針についてその根拠などを頭に入れてもらうようにしていきたいと思います。また手術教育としては、ロボット前立腺全摘の教育、ブラッドアクセス手術もしばらく行われていませんでしたので、これも血液浄化部にお願いしすでに再開しており、腫瘍だけではなく女子医大泌尿器科として腎不全治療にも関われるような指導をしていきたいと思います。

患者数の増加、収益の増加が現在の東医療センターに必要なものであります。泌尿器科の外来、手術により少しでも貢献できるようにしていきたいと思います。

近藤恒徳


2016年度活動報告と今後の目標 東医療センター 骨盤底機能再建診療部

2016年度 活動報告

  • 本院医療事故の余波などにより、一昨年下半期より東医療センターでも患者数が全体的に減少し当診療部も影響を受けたが、昨年春以降新患患者数が回復し手術件数は一昨年に比し10%増加した。とくにオペ患自身が友人や親戚に同じ手術を薦めるというケースが急増している。
  • マル秘企業努力により外来患者単価をアップさせることができている。剣木先生、小針先生、泌尿器科外来Ns、クラークに感謝。
  • 日暮里CLの3月閉鎖に伴い自費診療のバイオフィードバック訓練併用骨盤底筋訓練も終了となる。SUIやPOPを診療するうえで治療法の選択肢のひとつを提供できなくなり残念であるとともにその分の収益が減る。
  • 1月より合谷信行先生に非常勤講師となっていただいた。
  • International Continence Society が東京で開催され、Educational CurriculumでCystometryのLecturerとなり、大変良い経験であった。
  • International Consultation on Incontinenceで、日本人では数名のCommittee memberに推薦・承認され6th ICIに貢献した。
  • Editorial Comment to “Are complications of stress urinary incontinence surgery procedures associated with the position of the sling?” Int J Urol.、海外DRとの共同論文複数、今日の治療指針、日本医師会雑誌、朝日新聞、NHKきょうの健康、など執筆。
  • 女性泌尿器科State-of-the-art lecture(日泌総会)、シンポはじめてのFemale Urology 企画・座長(日泌東部)、OABランチョン(日泌中部)ほか多数。
  • 難治性過活動膀胱に対するBotox膀胱内注入療法の臨床治験参加中。
  • 腹圧性尿失禁に対する薬物治療の臨床治験参加中。

2017年度 目標

  • 泌尿器科メンバー交代による全員初助手が不安だが、LSCの上達。
  • MUIの病態に関する尿流動態検査による検討の論文化。
  • World Meeting Sexual Medicine (2020年開催)のvice presidentのひとりになったので、女性性機能に関連するデータの蓄積。
  • Taiwanese Continence Society(9月)にICで招請講演予定。
  • SUIに対する幹細胞移植のPhaseⅡ studyに参加予定。
  • ICに対するDMSOのPhaseⅢ studyに参加予定。
  • 内外を問わず、女性泌尿器科を専門としたい医師の育成。
  • 女性患者の受診率向上をめざすための活動の計画。

巴ひかる


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