東京女子医科大学泌尿器科 腎泌尿器癌研究会 設立趣意書会則
東京女子医科大学泌尿器科 腎泌尿器癌研究会 The Society of Urological Disease at Tokyo Women's Medical University
■ 2016年度年報
ホーム1.はじめに2.医局構成・新入局員紹介3.東京女子医科大学腎センター泌尿器科および関連病院入院・外来・手術統計4.東京女子医科大学泌尿器科学教室 活動報告・2017年度の目標5.関連および協力施設 活動報告・2017年度の目標6.業績目録7.あとがき

4. 東京女子医科大学泌尿器科学教室 活動報告・2017年度の目標 >> 小児・形成泌尿器科部門

女子医大の小児医療に対する意識改革はPCST(Pediatric Care Support Team)の活動によってある程度達成できたと考えるが、実際の医療現場においてはその活動の浸透はまだまだ不十分であり、各科がそれぞれリーダーシップを取らなければせっかくのチームもeveryone’s responsibility is no one’s responsibilityになりかねない現状である。

2016年の手術件数は84例、そのうち小児が52例、16歳以上が32例であった(表1)。 小児では例年と同じく結石が多く、全国各地から多くの紹介があった。特にUPJO(腎盂尿管移行部通過障害)やUVJO(尿管膀胱移行部通過障害)など先天性疾患に合併した結石が目立った。最近の傾向として、成長発達に問題がなく、結石発生のリスク因子もない症例が増えており食事や生活習慣との関連を検討していく必要があると考える。

その他の小児手術は後部尿道弁切開術、前立腺小室焼灼術、Deflux注入術などの内視鏡手術、VUR(膀胱尿管逆流症)、UVJOに対するUCN(尿管膀胱新吻合術)、UPJOに対する開腹腎盂形成術、巨大尿管症に対する尿管皮膚ろう造設術などの開腹手術、環状切開術、停留精巣などの体表手術と多彩であった。腎臓小児科のからの紹介で開腹腎生検や移植前の左腎摘出術を行った症例もあった。急性陰嚢症で手術となった症例は2例であったが、1例は精巣垂捻転で1例は精巣捻転で残念ながら精巣摘出となった。

成人症例は他院で施行された尿道下裂修復術後合併症(尿道皮膚ろう、外尿道口の後退)に対する再建術や、膀胱腫瘍摘出後(他院)の尿道狭窄に対する尿道切開術、UVJO術後(他院)の逆流+結石に対する再UCN、腎癌部分切除後のUPJOに対する腎盂形成術(当院)など再手術症例が多かった。成人例のUPJOはほとんどの症例に異常血管の合併を認めた。放射線部の献身的な協力のもと血管の3D画像にCTウログラフィーを重ねるという新しい試みで交差血管の評価を術前に出来るようになった。腹腔鏡下腎盂形成術を行う上でとても有用な検査と考える。

2016年は小児と成人の中間世代と言われるAYA(Adolesent and Young Adult)世代の骨盤内後腹膜腫瘍(paraganglioma)の摘出術を行ったが、予後とQOLを秤にかける必要のある難しい症例であった。当院でもAYA世代の症例に対応できるチーム体制ができるよう準備していく必要があると考える。

2017年の目標はこれまでと同様、全国でも数少ない小児結石治療を行う施設として結石関連手術と、小児から成人までの先天性泌尿生殖器領域の手術をますます安全に行っていけるよう努力したいと考える。また、腎盂形成術においてRAPP(Robot assisted pyeloplasty)導入の準備もしていきたいと考える。


表1 2016年 小児・形成泌尿器科部門 手術件数

小児 16-19歳 成人
全身麻酔症例(件数) 52 2 30

術式 小児 16-19歳 成人
結石関連(TUL) 19 1 3
膀胱尿管新吻合術 9 0 1
環状切開術 4 0 2
後部尿道弁・リング狭窄 4 0 1
腎盂形成術 3 0 3
腎摘出術 2 0 2
停留精巣固定術 2 0 0
急性陰嚢症 2 0 0
Deflux 注入術 2 0 5
陰嚢水腫根治術 1 0 2
腎生検術 1 0 0
尿管皮膚ろう造設術 1 0 0
前立腺小室焼灼術 1 0 0
傍尿道口のう胞摘出 1 0 0
後腹膜腫瘍摘出術 0 1 0
腎動脈瘤摘出術 0 0 2
尿道膣ろう閉鎖術 0 0 2
尿道形成術 0 0 2
尿道憩室摘出術 0 0 1

迫田晃子


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