東京女子医科大学泌尿器科 腎泌尿器癌研究会 設立趣意書会則
東京女子医科大学泌尿器科 腎泌尿器癌研究会 The Society of Urological Disease at Tokyo Women's Medical University
■ 2016年度年報
ホーム1.はじめに2.医局構成・新入局員紹介3.東京女子医科大学腎センター泌尿器科および関連病院入院・外来・手術統計4.東京女子医科大学泌尿器科学教室 活動報告・2017年度の目標5.関連および協力施設 活動報告・2017年度の目標6.業績目録7.あとがき

4. 東京女子医科大学泌尿器科学教室 活動報告・2017年度の目標 >> 大学院研究室

2016年度 活動報告と将来の展望

多くの日本人研究者がノーベル賞を受賞しているにも関わらず、日本の大学の国際競争力の低下が懸念されています。悲しいことですが、本邦の大学は世界ランキングでシンガポールや中国に大きく遅れをとっているというのが現実です。こうした時勢を反映し、文科省より新しい科学研究助成金『国際共同研究促進基金』が設立され、今年度より支給開始となりました。従来の学振などとは異なり、研究代表者が海外渡航中の代替職員を確保するための予算を含むなど、教職員が日本の大学に席を置いたまま海外研究を実施できるようにした点などが特徴的な制度です。

光栄なことに我々の研究がこの科研を獲得し、本年度より米国Stanford大学医学部, 骨髄移植分野のR. Negrin先生との国際共同研究を開始しています。そんなわけで、2015年4月に総合研究棟3階の新研究室に居を移し新体制をスタートさせたばかりの研究室でしたが、急転直下、新たな体制に移行しております。まず私はStanford大学にvisiting assistant professorとして赴任、さらに理化学研究所の石井保之先生(現REGiMMUNE代表取締役会長)、カン研究所の時田大輔先生のお二人に当科非常勤講師としてご着任いただき、私の不在時の研究指導を引き継いでいただくこととなりました。快く研究指導を引き受けていただいたお二人には大変感謝しております。結果的に、研究体制はより一層充実しており、さらなる成果が得られることが期待されます。

Stanford大学での研究はまだ始まったばかりで成果を報告する段階にはありませんが、Negrin先生の他にも、実臨床で世界最多の腎移植免疫寛容誘導試験を行っているS. Strober先生の研究室との共同研究を立ち上げるなど、研究の基盤は整いつつあります。『国際共同研究促進基金』の理念に応えられるよう、尽力したいと思います。

Stanford大学では古くから骨髄移植を細胞免疫療法として位置付けた研究がなされてきました。近年、再生医療の研究が盛り上がりを見せていますが、再生組織の移植には免疫寛容療法の併用が必要になることが予測されています。Stanford大学では、既に幹細胞研究グループと免疫研究グループ、これにスタートアップ企業を交えた共同研究が立ち上がり始めています。またStrober先生の免疫寛容の臨床研究は2016年12月に$6.6 million (7億4000円超!)という大型のgrantを獲得おり、これは昨年の臨床試験助成額としては全米Top10に入るとのことです。このように、免疫寛容研究は次の10年に花咲くbig projectです。将来的な展望として、女子医大が日本の免疫寛容研究の国際的な発信地となることを目指しています。

平井敏仁


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