東京女子医科大学泌尿器科 腎泌尿器癌研究会 設立趣意書会則
東京女子医科大学泌尿器科 腎泌尿器癌研究会 The Society of Urological Disease at Tokyo Women's Medical University
■ 2014年度年報
ホーム1.はじめに2.医局構成・新入局員紹介3.東京女子医科大学腎センター泌尿器科および関連病院入院・外来・手術統計4.東京女子医科大学泌尿器科学教室 活動報告・2015年度の目標5.関連および協力施設 活動報告・2015年度の目標6.業績目録7.あとがき

4. 東京女子医科大学泌尿器科学教室 活動報告・2015年度の目標 >> 前立腺腫瘍センター

前立腺腫瘍センター活動報告

2014年度は引き続き飯塚が実務責任者として担当しました。これまで約4年半に渡り、医局長・病棟医長・ベッドコントロールといった負荷の高い業務を兼務していたため、肝心の前立腺癌部門に関しては何とか日常診療の現状維持をするという苦しい状況が余儀なくされ、粛々と臨床業務を遂行してきました。昨年度はようやくこうした業務から開放され積極的に前立腺腫瘍部門の業務刷新にあたりました。

第一には統合データベースの構築があげられます。いまさらと思われるかもしれませんが、これまで前立腺癌症例全体を俯瞰できる統合データベースが構築できておらず、前立腺全摘のデータベース、手術症例QOL評価、化学療法(ドセタキセル)施行症例一覧、前立腺カンファレンス検討症例などそれぞれのデータベースが構築されup dateを続けてきました。手術症例のみならず、放射線治療や局所治療の行わない内分泌療法のみの症例など治療選択が多岐にわたる前立腺癌症例は治療別や治療段階別にデータベースが構築されることで情報が分断されがちでありました。そのため数年前より、日本泌尿器科学会の癌登録情報を基にしてデータベース作成および症例登録を進めていましたが、年間300~350例程の新規前立腺癌患者がおり症例数の増加に追いついて行けない状況でした。昨年度は一気に症例登録のペースをあげて進め、予定を約1.5年前倒しして直近の症例までの登録作業を終了しました。このデータベース構築により特に内分泌療法を施行している症例の抽出が非常に容易になります。従来は前立腺カンファレンス検討症例のデータベースから症例を抽出していましたが、これも治療選択が判明している症例に限定されていたのが現実です(実際は2013年秋までは全症例の治療選択は追跡していましたが)。例えば“診断時有転移症例(M1)の初回ホルモン療法奏効期間”や“新規AR標的薬に対するprimary resistanceに関与する因子”、“高グリソン症例のCRPC化と転移出現時期が後治療に与える影響”などを調べようとしたときに、これまで対象症例の抽出自体が非常に困難でしたがようやくこうしたデータをまとめる素地が出来上がったということです。今後、このデータベースと従来運用している個々のデータベースとの統合作業を進めていく予定です。

第二に、前立腺線腫瘍センターとしての治療成果が初めて論文化されました。1編は放射線腫瘍科からHDR治療に伴うQOL評価に関する論文であり、もう1編は新規薬の国内第二相試験の報告です。当院が治験施設に加わる為に積極的なプロモーションを必要としました。結果として治験参加施設に加わり、登録数第2位になったことで共著者として田邉教授がクレジットされました。これらは前立腺腫瘍センターとして漸く挙げられた成果となります。また、本稿執筆時点で飯塚の論文も2編投稿中でありますが、“結果がでていないことは何もしていないことと同じ”で評価の対象外となりますので、より一層求められている“目に見える業績”をあげて行くよう精進します。

診療実績としては本院でロボット支援前立腺全摘除術78例、腹腔鏡下前立腺全摘除術1例(ロボットの不具合により手術開始時より術式変更)、小線源永久挿入7例、強度変調放射線療法47例 という結果でした。ロボット支援前立腺全摘除術は新たに独立した術者を2名育成する中で、一日2例施行できる環境を整えてきました。現在の手術枠で症例数増加をするには一日複数例施行が絶対条件であり、本年より月間9~10例施行できる状況になりましたが、4月から飯塚が手術日(月・木)に学生実習を担当することになり症例数の伸びはお預けになりそうです。

今年度の具体的な到達目標は(1)ロボット前立腺全摘症例数対前年度比15%増(2)前立腺腫瘍領域での論文作成(複数編)(3)新規術者の育成2名以上(4)前立腺癌領域の後継者育成、をあげたいと思います。

本年も引き続き微力ながら尽力する所存です。同門の先生がたのご協力とご指導を賜りますよう何卒宜しくお願い申し上げます。

飯塚淳平

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