2014年は春以降いろいろな事情から小児関係の部署にとっては外来受診数や入院手術例の減少など少なからず影響を受けた1年であった。入院は66例 そのうち手術・処置は64例であった。腎盂尿管移行部通過障害5例(成人例1例含む) 膀胱尿管逆流は開腹で17例(成人1例含む) デフラックス注入10例(成人4例含む)であった。小児結石に関してはTUL6例 ESWL1例であった。その他は停留精巣3例、精巣捻転3例、包茎が宗教的割礼も含め6例、尿失禁のある尿道狭窄に対しての尿道切開術が8例などであった。腎臓小児科に入院管理をお願いした乳児の膀胱尿管逆流の術後で吻合部浮腫と、もともとの腎機能低下が重なり一時的に尿量減少を来たし尿管ステント留置を余儀なくされた症例を除き術後の大きなトラブルなく術後管理ができ皆元気に退院できている。
外来ではここ数年昼間尿失禁例が増え2014年も初再診合わせて104例の外来受診に対応している。ほとんどが膀胱機能の未熟性なので定時排尿と抗コリン薬内服で失禁は消失しほぼ半年で治療が終了する。時に長引く症例では尿道狭窄の有無の評価や排便管理が必要な場合が多い。また2014年の小児泌尿器科学会で発表した当院小児科〜心理との連携が有用な症例も認める。子供たちを取り巻く環境の複雑化を外来で実感している日々である。
2014年4月以降鈴木万里先生が成育医療研究センターに移り 鏡視下腎盂形成術は本院ではできなくなったが小児や結石合併の成人例など開腹での腎盂形成術を年間数例経験する。悪性腫瘍では手術術式が鏡視下やロボット支援が主流になるなか若手にとっては基本的な剥離結紮縫合の技術が問われる手術となっている。逆にきちんと基本ができていれば形成術はできるので腕試しのつもりで手術に参加していただければと思う。
術後の経過観察として高校生までは受診していただくように説明をしている。1年間で10名弱は外来受診を卒業していく。ほとんどが術後経過は問題ないが極々一部に蛋白尿出現例や腎機能低下から腎移植を検討しなければならない状況になることもある。女子医大の特徴として腎臓小児科、腎臓内科との連携、泌尿器科疾患の経過観察から移植へとスムーズに移行が可能なところがあげられる。このような特徴を生かし子供の将来を踏まえての対応が必要だと思う。
東病棟5階の小児外科病棟のスタッフ、泌尿器科の小児担当班、外来で小児処置に付き合ってくれる外来班のメンバーとスタッフに感謝し2015年も子供たちにとってなるべく負担が少なく有意義な対応ができるようにしたいと考えている。 |