東京女子医科大学泌尿器科 腎泌尿器癌研究会 設立趣意書会則
東京女子医科大学泌尿器科 腎泌尿器癌研究会 The Society of Urological Disease at Tokyo Women's Medical University
■ 2014年度年報
ホーム1.はじめに2.医局構成・新入局員紹介3.東京女子医科大学腎センター泌尿器科および関連病院入院・外来・手術統計4.東京女子医科大学泌尿器科学教室 活動報告・2015年度の目標5.関連および協力施設 活動報告・2015年度の目標6.業績目録7.あとがき

4. 東京女子医科大学泌尿器科学教室 活動報告・2015年度の目標 >> 腎移植チーム

腎移植チーム

先天的に重症な心疾患をもつ乳幼児に対し、血液型が異なる心臓を用いた移植がドイツを中心に積極的に行われ、いくつもの命を救っている。乳幼児における血液型不適合心臓移植の成功は乳幼児期における抗血液型抗体の産生量の少ないことに起因しており、成人で見られるような超急性拒絶反応は一切認められない。そしてさらに驚くべきことは、このような不適合心臓移植後の患児が成人になったとき、移植された心臓に対する抗血液型抗体はもはや産生されない状態となっている。例えば、Landsteinerの法則によって本来であれば血液型A型とB型の両方に対する抗Aおよび抗Bの血液型抗体を有するはずであるO型のレシピエントが乳幼児期にA型の心臓を移植されると、その患児が成人に達したとき、移植された心臓のA型抗原に反応する抗A抗体は一切産生されず、移植に関係のないB型抗原に対する抗B抗体のみが産生されることが判明し最近アメリカ移植学会誌に報告された(2014年11月)。これは免疫学的にB細胞系の寛容状態が成立した結果と考えられている。エビデンスの積み重ねを行うことによって一歩一歩地道に階段を上っていくのが学問であり、その手段として学術論文がある。その一方で臨床医学ではドイツの心臓移植のようにやむにやまれず断行しなければならない場面に遭遇することがいくつもある。東京女子医科大学は見放された患者が救いの手を求めて全国から集まってくる最後の砦であり、私たちはひとつでも多くの手を差し伸べねばならないと若い頃から教育されてきた。そのような意味において東京女子医大学泌尿器科移植チームは数少ない貴重な臨床経験を症例報告として掲載し公表する義務を負っている。症例報告は近年軽視されがちな風潮にあるが、ドイツの例のように臨床を行って初めてわかった新たな基礎的な見解もたくさんある。貴重な私たちの臨床経験を少しでも多く掲載し、世界的に引用していただけるよう努力しなければならないと考えている。

移植チームは昨年から今年にかけて大きな変貌があった。野崎大司助教が2014年9月より手術の辣腕を請われて順天堂大学の泌尿器科准教授に昇格した。2015年4月15日に第1例目の腎移植が順天堂病院で施行される予定である。順天堂病院における移植医療の開始は新たな風となって順天堂の院内を高揚させていると聞いている。そして、われわれ女子医大の泌尿器科には新たに強力な助っ人が大阪大学より入局した。奥見雅由講師である。若い息吹がさまざまな場所で組織を活発化させている。

東京女子医大泌尿器科は今年の移植総数130例を目指す予定で日程を調整している。

石田英樹

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