東京女子医科大学泌尿器科 腎泌尿器癌研究会 設立趣意書会則
東京女子医科大学泌尿器科 腎泌尿器癌研究会 The Society of Urological Disease at Tokyo Women's Medical University
■ 2014年度年報
ホーム1.はじめに2.医局構成・新入局員紹介3.東京女子医科大学腎センター泌尿器科および関連病院入院・外来・手術統計4.東京女子医科大学泌尿器科学教室 活動報告・2015年度の目標5.関連および協力施設 活動報告・2015年度の目標6.業績目録7.あとがき

4. 東京女子医科大学泌尿器科学教室 活動報告・2015年度の目標 >> 泌尿器科研究室

泌尿器科研究室 活動報告・2015年度の目標

2014年度の活動内容については基本的には前年度を引き継いだ内容となっており(1)サルを用いた免疫寛容の誘導、(2)小動物を用いた基礎実験(移植関連、腫瘍関連)、(3)抗HLA抗体の測定や臨床腎移植データー解析、(4)病理検体を用いた臨床解析や研究を行ってきました。

2014年度の研究成果に関してですが、サルの実験においては昨年同様、免疫寛容誘導に成功したといった状況ではありません。しかしながらその中の一頭が免疫抑制剤を中止した状態で500日以上移植腎が生着し、かつ拒絶反応がない状態を保つことに成功しております。2015年度の目標も昨年度と変わらず、サルにおける免疫寛容誘導のプロトコールを確立することに変わりはありません。サルはヒトと比較しても元々メモリーT細胞が多く存在し、マウスの研究と比較しても免疫寛容を誘導するには非常にハードルが高いと考えています。しかしながらそういったなかでチャレンジを続け、有用なプロトコールを開発し、将来的に臨床応用できることを目標としています。

小動物を用いた研究については昨年度から引き続きNKT細胞を刺激する特殊なリポゾームを用いた系で免疫寛容を誘導する報告をもとに免疫寛容誘導のメカニズムの基礎的検討を行っています。これらの内容は昨年の米国移植学会でアワードを獲得するなど高い評価を受けています。2015年度は、これらの系を応用してGVHDの抑制効果をみるなどの研究を進めています。また、ヒトの検体を用いてリツキシマブ投与後の再構築されるB細胞の機能解析も進み一定の成果を出しています。その他の小動物を用いた実験に関してもラットの腎移植を用いた免疫グロブリンの作用機序の解明については現在投稿準備中であり、新規放射線増感剤(SQAP)のマウスへのヒト前立腺癌細胞株に対する効果についての成果は2015年のInternational Journal of Urologyに受理されました。今後SQAPに関しては臨床応用に向けて東京理科大や東京農工大との連携をとりながらFirst in humanに向けての準備が進むことになります。

また、腎移植の臨床に関しましては病理学的検討で0時間生検所見とタクロリムスの腎毒性との関連や補体(C4d)沈着の認めない慢性抗体関連型拒絶反応の臨床像の検討の2報についてNephrologyへの掲載が決まっておりこちらも一定の成果を出しております。

本年度は2名の新規大学院生が研究室に配属になり、その研究室も巴寮から総合研究棟3階へ移転しました。現時点で大学院生は7名在籍しており、1名は外部への研究機関に赴いて研究を行っております。研究室も新たな場所で、以前よりも実験がやりやすい環境となり活気を帯びてきています。その一方で研究費の獲得も必要であり、競争的資金の獲得に関しては頭を痛めている次第です。昨年度で大きなウェートを占めていた大型研究費が終了し、2015年度はさらに研究費を獲得していく必要があるからです。このような中でも研究内容をよく吟味し、効率よく研究が進むよう実験計画を立案して行っていく必要がこれまで以上に重要な課題となってきました(ただほとんどの研究はそう単純に進みませんが・・)。今後も全員で研究室を盛り上げ、基礎、臨床の両分野において、中身の濃い研究成果を残せるような研究室作りをめざしたいと思います。

尾本和也

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