H22年は、手術件数464件(ESWLを含む、前立腺生検除く)であった。H21年と比較し、手術件数は約40件増加した。ここ数年取り組んでいる疾患の選択と集中により、一時手術件数が減少したが、癌関連手術と結石治療の増加により再び増加傾向にある。手術の内訳は、癌関連手術146件のうち、前立腺全摘除術24件、腎腫瘍関連手術(腎摘、腎部分切除)13件、うち内視鏡下手術7件、腎尿管全摘除術10件、うち内視鏡手術5件で開腹手術から鏡視下手術への移行が進んでいる。膀胱全摘除術は10件で例年と比較し大幅に増加した。また、前立腺肥大症に対するTURPも58件で昨年を6例上回った。一方、慢性腎不全に対するブラッドアクセス手術関連は、2件と大幅に減少し本年は0件となると思われる。
川口市は東京に隣接し泌尿器科特殊疾患専門病院が近くにあり、また限られたマンパワーを有効に使うには個々の病院が独立して医療を行うのではなく、それぞれの特徴を生かし選択と集中をおこないながら全体として質の高い医療を提供するという発想に立つ必要があると考えている。この観点に立って、ここ数年川口市泌尿器科医会を軸としてPSA地域連携パス運営に取り組んできた。結果、医師会ホームぺージに掲載となり、説明会、雑誌掲載もなされ、順調に軌道に乗りつつある。この結果、昨年は前立腺生検数は200件を超える状況となった。本年は新たな連携パスの作成を考えており、さらに病診連携が進むものと思われる。
スタッフは、昨年は医局のご援助により4人体制(龍治、菊野、今井、若松)で診療にあたった。さらに外来医の援助もしていただいているものの慢性的に込み合う外来は解消されず人手不足は否めない。教育面では、病理カンファレンス、回診前カンファレンス、術前カンファレンス、7Aカンファレンスが、継続的に施行されており、学会発表、講演会、論文発表も精力的におこなった。資格についても泌尿器科専門医(今井)、日本がん治療認定医(菊野)を取得した。スタッフの努力に感謝したい。
今後の課題として、さらなるスタッフのスキルアップをあげたい。具体的には、昨年実行出来なかった鏡視下前立腺全摘除術、鏡視下腎部分切除術を行うこと、および緩和医療のさらなる充実を図りたいと考えている。 |