(1)体制
前年から引き続き、中澤(以下、敬称略)の下、合谷、巴、伊藤、鈴木浩、横田、石川の7名体制で始まった。4月から鈴木と交代で峯田が着任。2月より骨盤底機能再建部が新規に開設され、巴がその部長となったが、泌尿器科も引き続き兼任となった。7月からは、合谷が埼仁蕨クリニックに出向し、実質的には6名体制に戻った。6名で、泌尿器科と血液浄化部(第2部)の診療、外勤の維持はなかなかの激務ではある。しかし、実働部隊に人事の変更はなく、特に、石川が1年以上続けて勤務していたことが、診療面での安定に貢献したものと思われる。さらに、塩見、津嶋、前田諸氏には、腹腔鏡手術のトレーニングを兼ね手術全般のサポートに時々来ていただいている。この紙面をお借りしてお礼したい。
(2)手術件数の動向
腫瘍関連の手術では、件数こそ横ばいであるが、内訳では体腔鏡下手術が増加傾向を維持し、特に腹腔鏡下腎部分切除が増えている。一方、部位別でみると、前立腺に関しては、生検の件数が増えず、結果として全摘も伸び悩みとなっている。良性疾患では、TUR-Pが有意に減少した。これはTUR-Pの主たる供給元であった合谷外来の枠縮小に伴うものであったと考える。金光在任中に一時的に増えた小児疾患ではあるが、今期も皆無に近かった。
(3)その他
- 医局の移転:5月に管理棟へ移転し、この機会に内装や備品を一新した。また、6月末に医局秘書が高澤から小出へ交代した。
- 外来ケアルーム運用開始:外来化学療法専門ブースの運用が、外科を中心に8月から開始された。当科も、プロトコールを登録するなど準備を行なったが、患者にとって利便性に乏しいことから、年内の運用は見送った。
- ER構想の頓挫:地域のニーズ等から、全科参加によるER開設の機運が高まったが、各科の足並みが揃わず頓挫した。それに代わる当直体制として、当科は10月から外科系枠に組み込まれることとなった。しかし専門を超えた診療を要求されることはなく、実質的な負担増はない。
(4)今後の目標
癌診療への特化、ならびに良性疾患に関しては手術療法への特化をこれまで以上に進めていくことは言うまでもない。さらに地域のニーズを満たす新たな領域を開拓する必要がある。一つには、血液浄化部や専用の透視室を有効に活用する上でも、他院からの腎不全外科診療あるいは腎瘻造設などの依頼を積極的に受け入れられる体制づくりが求められよう。
東医療センターは地域の病院という色彩が強い。そしてその地域というのが、なかなか、癖のあるところでもある。ひょっとすると東医療センターそのものがそう思われているかもしれない。しかし、慣れてしまえば、意外と仕事はしやすい地域でもある。トレーニングに万全の環境を整え、若手の諸君をお迎えしたい。 |