東京女子医科大学泌尿器科 腎泌尿器癌研究会 設立趣意書会則
東京女子医科大学泌尿器科 腎泌尿器癌研究会 The Society of Urological Disease at Tokyo Women's Medical University
■ 2010年度年報
ホーム1.はじめに2.医局構成・新入局員紹介3.東京女子医科大学腎センター泌尿器科および関連病院入院・外来・手術統計4.東京女子医科大学泌尿器科学教室 活動報告・2011年度の目標5.関連および協力施設 活動報告・2011年度の目標6.業績目録7.あとがき

4. 東京女子医科大学泌尿器科学教室 活動報告・2011年度の目標 >> 泌尿器科研究室

泌尿器科研究室 活動報告・2011年度の目標

泌尿器科研究室は、2009年6月から巴寮の3階に移動しました。2010年度の活動内容は具体的には、(1)サルを用いた免疫寛容の誘導、(2)小動物を用いた基礎実験(移植関連、腫瘍関連)、(3)抗HLA抗体の測定や臨床腎移植データー解析、(4)病理検体を用いた臨床解析や研究といった4本柱になっています。

サルを用いた免疫寛容の誘導の試みでは、平成20年より文科省の私立大学戦略的研究基盤形成支援事業のグラントを取得することができ、5年間で1億円程度の研究費を見込めるようになりました。しかしながら、これに関しては開始後2年で報告書の提出が義務づけられ、その内容によっては研究費が打ち切られるという厳しいものでもあるため、結果が今まで以上に求められるものとなっています。平成23年3月現在、報告書に対する結果待ちの状態です。

サルの実験においては昨年度よりドナー骨髄移植による免疫寛容誘導を試みていますが、なかなか成功していません。自然界に生息するサルは様々な抗原にさらされているためか、メモリー細胞の割合も多く、免疫応答が強く起こりやすい印象です。こういった特性が免疫寛容誘導のハードルを高くしていると思われます。ただ、寛容誘導を阻害する様々な原因がわかってきましたので、それらをもとに改善策を検討したいと思います。サルの腎移植は月に1-2回、日曜日を利用して山梨県小淵沢にある動物実験施設に赴き、骨髄移植と腎移植を行っています。2011年度の目標としては、有効な減感作療法とメモリー細胞をターゲットにした免疫寛容誘導法を考案し、安定した骨髄キメラを作成することですが、そのための様々な基礎実験も同時に進行していく予定です。グローバルにはヒトにおける免疫寛容誘導の報告が少しずつ出てきていますが、まだまだわからないところがたくさんあります。ハードルは高いのですが、少しでも臨床に応用できるプロトコールが開発できればと思います。

小動物を用いた実験については2010年度に文科省の前立腺癌の治療についての戦略的研究基盤形成支援事業のグラントを獲得することができ、東京理科大学のチームとの共同研究を進めています。このグラントに関しても2年後に報告書を提出する義務がありますので結果が求められることになります。研究内容は新規の放射線増感剤を併用した放射線療法の研究です。移植関連の研究としては、感作モデルマウスに様々な処置を行って心臓移植の生着延長効果を解析する実験や、免疫寛容誘導に関与する調節性T細胞を増殖させる新規薬剤を用いた実験を行っています。臨床検体を用いた研究は、腎移植後のgraft内の血液型抗原、接着因子に関する解析などを行っています。色々苦労もありますが、その努力が確実に実を結びつつあります。2011年度の目標は、これらの各プロジェクトをさらに推し進め、成果として残していくことだと思います。

また、腎移植の臨床に欠かせない、抗HLA抗体の測定やリンパ球サブセットなどの免疫学的解析も行っており、たくさんの検体の解析を行っていただきました。また腎移植の臨床データーを定期的に整理する作業も当研究室で行っています。どちらも大変な作業ですが担当者の頑張りがこれらを支えています。

研究は色々と苦労もありますが、仮説をたてて、それに対する計画を立案し、実験を行ってその結果がうまくいった時のうれしさはひとしおです。今後も皆で研究室を盛り上げ、基礎、臨床の両分野において、中身の濃い研究成果を発表できればと思います。

尾本 和也

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