東京女子医科大学泌尿器科 腎泌尿器癌研究会 設立趣意書会則
東京女子医科大学泌尿器科 腎泌尿器癌研究会 The Society of Urological Disease at Tokyo Women's Medical University
■ 2006年度年報
ホーム1.はじめに2.医局構成・新入局員紹介3.東京女子医科大学腎センターおよび関連病院入院・外来・手術統計4.東京女子医科大学泌尿器科学教室活動報告・2007年度目標5.関連および協力施設と活動報告・2007年度目標6.業績目録7.あとがき

5. 関連および協力施設と活動報告・2007年度目標 >> 東京女子医科大学東医療センター泌尿器科

東京女子医科大学東医療センター泌尿器科活動報告

東医療センター泌尿器科における2006年度の活動を報告する。本年度は4月と10月に人事異動があり、高木,小林裕がそれぞれ川口済生会病院,成人医学センターに異動し,代わりに4月に鈴木裕,10月に伊藤,吉田が配転となった。その結果10月からは6人体制となり,念願であった午前中からの手術が可能となり、診療の充実と安全性が向上した。また6〜8月には大学本院から小内が女性泌尿器科学の研修を兼ね診療を補助してくれたため、その間、医師のQualityが改善された。
患者数、手術件数は年々増加しており、医療の質と安全性を維持し在籍スタッフの負担を軽減できる診療体制を創ることが当センターの課題である。

診療実績
外来統計:外来患者数は東医療センターで新患;2,034名,再来;13,430名,田端駅前クリニックで新患:301名,再来(透析患者半数を含む);5,494名,総計21,259名(1日平均;76名)であった。前年に比べ、新患数が約500名増加し、1日平均患者数で約6名増加している。これに検査も加わり、かなり忙しい外来である。
入院統計:入院ベッド17床で治療が行われている。入院患者数は467名、平均在院日数10日,ベッド稼働率80.5%であった。入院患者の75〜78%は手術治療が目的であり、そのほか抗がん剤治療、緩和医療、尿路性器感染症などによる緊急入院、などであった。
手術統計:総手術件数は435件(入院366件、外来69件)であり、前年に比べ,100件以上の著明な増加を認めた。主な手術は、腫瘍関連手術:166件(前年比54件増)、女性泌尿器科手術:97件(前年比:27件増)、シャント関連手術:74件(前年比22件増)、前立腺肥大・尿道狭窄:43件、尿路結石関連:25件、陰嚢・陰茎関連:22件であった。特徴として腹腔鏡手術52件(前年比22件増;LRN 29, LPN 9, LNU 10, ほか)、経尿道的内視鏡手術:133件(前年比46件増;TUR-Bt 69, TUR-P 37, TUL 18, ほか)と泌尿器内視鏡手術が充実していた。
腫瘍関連手術:内訳は副腎腫瘍3例、腎腫瘍48例(腎摘:37例、腎部切:11例)、腎盂尿管腫瘍14例、膀胱腫瘍66例(全摘:5例、TUR 60例、ほか)、前立腺癌17例(全摘:12例、TUR:5例)、精巣腫瘍2例、後腹膜腫瘍2例、であった。腎上部尿路腫瘍とTUR症例の増加が特徴的であり、副腎も含めた腎上部尿路腫瘍に対する内視鏡手術の比率は80%であった。前立腺癌は新規症例が47例であったが、治療の多様化と高齢者が多い関係で根治的手術は12例に留まっている。
女性泌尿器関連:女性尿失禁に対するTOT/TVT手術は46例,Zuidexの尿道周囲注入術は7例に行われた。間質性膀胱炎に対する水圧拡張術は25件,潰瘍を有する症例に対してはTUCを併用している。膀胱脱手術は16件、メッシュを用いた膣前壁補強が行われている。
良性疾患:尿路結石の治療が25例(TUL:18、切石術:6、腎摘:1)と例年より多かった。前立腺肥大症に対する治療は37例と例年並みであった。馬蹄腎の狭部離断術を1例、腹腔鏡下に施行した。いっぽう、当センターにおける小児泌尿器疾患の治療機会は少ない。

研究活動
前年に引き続いて、女性の排尿障害(過活動膀胱、間質性膀胱炎,腹圧性尿失禁)の治療,腎尿路腫瘍の治療,をテーマにした臨床研究が行われた。日常臨床が忙しく十分な時間を費やすことができない状態は相変わらずであるが、豊富な症例を背景に新しい手技や治療法が導入されており、腹圧性尿失禁に対するTOT手術や腎腫瘍に対する腹腔鏡下腎部分切除術は高い評価を得ている。
平成18年度に行われた学会・研究会における発表は、講演;40題,シンポジウム・ワークショップ等;7題,国際学会3題を含め計56題であった。論文発表は学術誌;8編,その他雑誌執筆;9編,ほかメディアを通した多数の啓蒙的発表が行われた。研究テーマは女性の排尿障害(過活動膀胱,間質性膀胱炎,尿失禁の手術治療,ほか),腎癌に対する治療,腹腔鏡手術,表在性膀胱癌に対する治療,症例報告であった。

教育関係
大学附属病院として学生教育,卒後研修教育に貢献した。学生教育としては医学部B2,B6、東医療センター附属看護学校の講義を分担して行い、臨床実習に対応できるカリキュラムの作成を行った。卒後研修教育は全体のオリエンテーションを行うとともに,当番時に指導医として教育指導を行った。泌尿器科は必修科目ではないため常時研修医が在籍するわけではないが,カリキュラムを作成し対応した。本年は2名が泌尿器科を選択し後期研修を行った。
中澤 速和

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東医療センター泌尿器科2007年の目標と課題

東京女子医科大学東医療センター泌尿器科は荒川,足立の2区を中心とした城東地区の拠点病院として地域医療を担っている。本来は大学病院の医療センターとして専門性の高い医療を提供すべきであるが、実態は地域の中核病院であり一般患者が多数来院し,その性格づけがなかなか難しい。また大学関連病院としての十分なスタッフと設備が整っているとはいえず,診療、研究ともに充実させるためにはまだまだ課題が多い。
また2007年10月には田端駅前クリニックが閉鎖され、透析室の血液浄化部への統合、日暮里外来センターの開院が予定されている。そうした環境の変化も視野に、今年の目標というより願望に近い課題をいくつか列挙する。

(1)安定したスタッフによる専門性の高い診療体制と設備の充実
開設以来10年を経て紹介患者が増加し、年々、手術症例も豊富になっている。大学病院としての専門性を強調できる診療体制を構築することが念願である。専門外来へのステップとしてまずは女性泌尿器科学、泌尿器腫瘍学、泌尿器内視鏡学、をより充実させる。そのためには必要なUrodynamic Study検査機器、軟性尿管鏡の購入、レーザー機器のリースなどを検討する。

(2)検査、診療の合理化
現在、少ないスタッフで綱渡り的な診療を行っている。急なスタッフの増員が見込めない中では、外来処置、検査を見直し、安定した手術時間を確保するための工夫を行う。
新設の日暮里クリニックでは電子カルテが導入され、完全予約制となるためその運用が円滑に行えるよう準備する。

(3)血液浄化室の運営参加
現在、田端駅前クリニックで腎不全治療を行っているが、その拠点が東医療センター内の血液浄化室に移る。腎臓内科と密に連携して運営を行う。

(4)研究面の充実
女性泌尿器科学を中心に学会発表レベルの研究が蓄積されており、今後、東医療センター独自の論文発表を積極的に行っていきたい。また、臨床研究に必要な器材とシステムの整備を行うことが必要であり、その時間的余裕の確保が急務である。

今後も現在の活動性を維持し,臨床研究を中心に積極的な活動を行う予定である。
中澤 速和

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