東京女子医科大学泌尿器科 腎泌尿器癌研究会 設立趣意書会則
東京女子医科大学泌尿器科 腎泌尿器癌研究会 The Society of Urological Disease at Tokyo Women's Medical University
■ 2006年度年報
ホーム1.はじめに2.医局構成・新入局員紹介3.東京女子医科大学腎センターおよび関連病院入院・外来・手術統計4.東京女子医科大学泌尿器科学教室活動報告・2007年度目標5.関連および協力施設と活動報告・2007年度目標6.業績目録7.あとがき

4. 東京女子医科大学泌尿器科学教室活動報告・2007年度目標 >> 前立腺腫瘍センター

前立腺腫瘍センター活動報告

前立腺腫瘍センターは平成18年の秋に承認され、泌尿器科および放射線科の前立腺癌に対する合同治療チームとして発足しました。
この間、腹腔鏡下前立腺全摘除術の導入、小線源永久挿入術、高線量率組織内照射の導入、およびIMRTの適応拡大などがおこなわれています。
発足後これまでは、主に早期前立腺癌に対する治療法を強化してきました。
腹腔鏡下前立腺全摘除術は昨年7月から開始し、昨年で7件、現在13件終了しています。今年度中には施設認定を得るのが目標です。
これまでは手術時間5時間以内、コンバージョンなく、腫瘍制御、尿失禁の制御もできています。最近では3時間台になる症例もあり、バルン抜去4-5日、退院5-6日でしています。今後の課題は神経温存を癌制御をおとさずにおこなうことだと考えています。AUAではロボットでの前立腺全摘除術の映像をみてより繊細な操作がされているのをみて感化されています。将来の目標としては是非必要かと考えています。
ラパロの手術操作、術後管理に影響され、現在では開放術も術後4-6日でバルン抜去、5-7日で退院として管理しています。
小線源永久挿入術は今年2月より導入しています。主に低リスク早期前立腺癌を対象に3泊4日で施行しています。前立腺生検を少し侵襲を強くした程度でおわっており、週1例で現在しており、これまで大きなトラブルはありません。術後1-2ヶ月は頻尿、残尿感などの局所症状を訴えますがおおむね満足されています。今後の腫瘍制御については中止してフォローしていきたいと思います。
高線量率組織内照射は今年3月より導入しています。これは刺入針を半日入れたままし、朝と夕方に2回体外よりイリジウムを刺入針から照射します。他施設では2日にわたり刺入されていたいしますが、前立腺癌の放射線学的な特性として比較的多い量を少ない回数で照射した方が好ましい性質もありこのようなプロトコールでおこなっています。中、高リスク早期前立腺癌に対し外照射15回5週間を照射後にこの治療をおこなっています。3泊4日で施行しています。これまで週1回、小線源療法と交互におこなっていますが、組織内照射と比べると、膀胱刺激症状、血尿がやや多く出ますが、おおむね経過は良好です。
IMRTは開始して2年になりますが、これまではDM,膠原病などの合併症のない方を対象にして治験を勧めて参りましたが、今春より高度先進治療の認定となり、DM,膠原病などの放射線合併症のおこりやすい方も対象に、より周囲に影響がでないように照射が可能となっています。高度先進医療になりますので80万円のコストが発生します。
このように、早期前立腺癌に対する治療手段を強化しており、今年度は各症例数を積み重ねるとともに、QOLスコアを算定し、各治療方法の患者さん側にたった評価の結果をだしたいと考えております。
この他にも、前立腺癌診療にあたり標準化すべき項目として、マーカーなどの診断、浸潤性前立腺癌の治療方針、ホルモン耐性前立腺癌の治療方針の3項目の標準的治療方針の徹底を今年度の目標にあげたいとおもいます。具体的には各項目の標準的指針を電子ファイルとして作成するとともに、患者さん向けの資料、ホームページのコンテンツを充実させていきたいと考えております。
実際の診療としては、診断については外来での前立腺生検が現在週1回6-7例を小内先生を中心におこなっていますが、2ヶ月待ちの状態でしており、可能であれば週2回の生検、TRUSの常設などが将来的にはできればいいなと思います。
浸潤性前立腺癌については単独治療および内分泌併用療法の限界もあり、化学内分泌療法の術前、術後のプロトコールを組んでいく時期かと考えています。
ホルモン耐性前立腺癌については、タキサンを中心としたHRPCに対するプロトコールをプロスペクティブに組みたいと考えています。
やらなければいけないことが山積しておりますが、ひとつひとつデータがだせるよう努めてまいります。前立腺に関心をもっている若いパワーを募集中です。一緒に積み上げていきましょう。
橋本 恭伸

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