東京女子医科大学泌尿器科 腎泌尿器癌研究会 設立趣意書会則
東京女子医科大学泌尿器科 腎泌尿器癌研究会 The Society of Urological Disease at Tokyo Women's Medical University
■ 2006年度年報
ホーム1.はじめに2.医局構成・新入局員紹介3.東京女子医科大学腎センターおよび関連病院入院・外来・手術統計4.東京女子医科大学泌尿器科学教室活動報告・2007年度目標5.関連および協力施設と活動報告・2007年度目標6.業績目録7.あとがき

4. 東京女子医科大学泌尿器科学教室活動報告・2007年度目標 >> 泌尿器科第2研究室

泌尿器科第2研究室活動報告

平成18年度の泌尿器科第2研究室の人事変更では、4月に飯田先生が大学院講座の腎尿路再生置換治療学講座に入学となり、メンバーに加わった。大学院生は3人となり、また9月より尾本先生が女子医大に入局され、人事面ではさらに充実した。当研究室の研究テーマである1)大動物および小動物を用いた免疫学的寛容の導入、(2)虚血再環流障害に代表される臓器保存に関する研究、(3)免疫抑制剤の新規使用法の開発、(4)臨床腎移植のデータ解析について本研究室の活動状況を報告する。

(1)大動物および小動物を用いた免疫学的寛容の導入の試み
平成15年度より文部科学省私立大学助成学術フロンティア研究費の「ドナー特異的免疫寛容誘導の試み及びヒト臨床応用のためのプロトコール作成に関する研究」のテーマにて継続申請が認められ、昨年で丁度4年目を経過し、本年度がいよいよ最終年度になる。昨年度は一昨年同様、9例の骨髄移植或いはそれに準じる実験を行った。昨年度の報告書で述べたように本年はしばらく封印していたリンパ球補助刺激抑制分子を組み合わせて、血球キメリズムの誘導を目指した。結果、血球キメリズムは6/8の高確率で誘導できた。また、抗癌剤単独のレジメンに比べてリンパ球補助刺激抑制分子の副作用は少なく(代表的な副作用は血栓症と報告されている)、臨床応用する場合の大きな利点と思われた。しかし、キメリズムは永続せず、一時的なものであり、骨髄移植後20日ごろより増加してくる宿主のCD11b+CD28-CD95+CD62L- effector memory CD8Tにより拒絶されてしまった。このようなmemory T細胞の増殖(T細胞の恒常性増殖、”homeostatic proliferation”ともいう)は既存の免疫抑制剤やリンパ球補助刺激抑制分子でも制御することは難しく、ドナー特異的な免疫寛容誘導の障壁となることがマウスの実験でも明らかにされており、これを制御或いは回避するようなプロトコールの開発が望まれる。とはいうものの、5年というプジェクトの最終年度であり、残されている時間は限られているため、ここまでの結果をまとめ、発表する予定である。新たに加わった飯田先生はマウス心移植モデルを用いて、理科大で日々実験を行っている。また理科大との合同ミーティングを年5回、昨年だけでも実施した。今後、研究の推進に役立つものと考えている。

(2)虚血再環流障害に代表される臓器保存に関する研究
一昨年度から、土岐先生がエラスポールというSIRSやARDSのときに用いられる好中球エラスターゼ阻害薬を用いて行っていたが、有効性が確認できず、実験は一時休止している。現在、土岐先生は移植腎病理の分野の研究を山口先生の下で行っている。

(3)免疫抑制剤の新規使用法の開発
昨年、新村先生がなされたマウス心移植モデルを用いたMMF+MZ併用療法の論文が発表された。(Transplantation. 2006 Jul 27;82(2):175-9.)

(4)臨床腎移植成績のデータ解析
一昨年に引き続き平成18年度も世界移植学会(ボストン)11演題の発表を行った。また、米国のDr. Kasiskeらとの共同研究Predicting Outcomes in Renal Transplantation (PORT)に参加し、世界規模で腎移植後の心血管系疾患の発症頻度や予後を調査している。これらの結果が本年度、発表される予定である。

平成19年度は上記研究テーマの結果をさらに追求していくこととなる。また本研究室として基礎、臨床の両分野での研究成果を自分も含め、発表して行く予定であります。今後とも皆々様の御指導の程、宜しくお願い申し上げます。
瀬戸口 誠

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泌尿器科第2研究室2007年度目標

(1) サルでの論文発表
(2) 移植腎病理標本の免疫染色を用いた基礎的解析及び全般的な診断能力向上
(3) 骨髄キメラマウスでのドナー特異的免疫寛容に誘導するメカニズムの解明
(4) 臨床論文の発表(1人1編以上)
瀬戸口 誠

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